花粉症治療薬と腸の働き ――内服薬で便秘は起こるのか?
花粉症の季節になりました。当院でも、内服薬に加えてアレジオンLX点眼液(または、アレジオン眼瞼クリーム)、点鼻薬、そしてアレジオン錠などを組み合わせて処方することが増えています。目のかゆみ、充血、鼻水、くしゃみといった症状を抑えるために抗アレルギー薬はとても有効ですが、「内服すると便秘になりますか?」というご質問をいただくことがあります。今回は、抗アレルギー薬と腸の働きの関係についてわかりやすく整理してみます。
まず、花粉症の中心的な物質は「ヒスタミン」です。花粉が体内に入ると、肥満細胞からヒスタミンが放出され、血管拡張や神経刺激が起こり、かゆみや鼻水が生じます。アレジオン錠などの第二世代抗ヒスタミン薬は、このヒスタミン受容体をブロックして症状を抑えます。眠気が比較的少ないのが特徴で、日中活動する方にも使いやすい薬です。
では、なぜ便秘が話題になるのでしょうか。腸の動きは自律神経、とくに副交感神経によってコントロールされています。副交感神経が働くと腸はよく動き、排便が促されます。ところが、抗ヒスタミン薬の一部にはわずかに「抗コリン作用」があります。これは副交感神経の働きを弱める方向に作用するため、腸の蠕動(ぜんどう)運動がやや低下することがあります。その結果、便が硬くなり、排便回数が減ることがあるのです。
もっとも、アレジオン錠のような第二世代薬は、昔の第一世代抗ヒスタミン薬に比べると抗コリン作用はかなり弱く設計されています。そのため、実際に便秘が問題になる頻度は高くありません。ただし、もともと便秘傾向のある方、高齢の方、水分摂取が少ない方では、軽い便秘感を自覚することがあります。
ここで重要なのは、点眼薬や眼瞼クリームは主に局所に作用するため、全身的な腸への影響はほとんどないという点です。アレジオンLX点眼液やアレジオン眼瞼クリームは、目やまぶたの症状を抑えるための薬で、内服薬のように全身を巡る量はごくわずかです。したがって、便秘を心配する必要はほとんどありません。鼻症状に対する点鼻薬も同様で、全身性副作用は限定的です。
もし内服で便秘傾向が出てきた場合は、まず水分をしっかりとること、食物繊維を意識すること、適度な運動を心がけることが基本です。それでも気になる場合は、薬の種類を変更するという選択肢もあります。抗ヒスタミン薬は複数の種類があり、体質との相性もありますので、遠慮なくご相談ください。
花粉症治療は「症状を我慢する」ことではなく、「生活の質を保つ」ことが目的です。目のかゆみや鼻水を抑えつつ、腸の働きにも配慮したバランスのよい治療を行っていきましょう。心配なことがあれば、診察時にぜひお声かけください。



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