ピレスロイド系殺虫剤が目に入ったら?―2歳のお子さんのケースから―
ご家庭でよく使われる噴霧式の殺虫剤には、「ピレスロイド系」と呼ばれる成分が含まれていることが多くあります。これは蚊やハエなどの神経に作用する成分で、人に対する毒性は比較的低いとされています。しかし、「目に入った」となると話は別で、強い刺激症状が出ることがあります。
今回のケースでは、2歳のお子さんの右目に殺虫剤が飛入し、強い痛みで泣いたとのことでした。すぐに水で洗い、さらにシャワーで十分に流したところ、泣き止んだとのことです。診察時には軽い充血のみで、まぶたの動きや瞳孔の反応も正常でした。その後も追加で洗眼を行いました。
ピレスロイド系が目に入るとどうなるの?
多くの場合、主な症状は
・強いしみるような痛み
・流涙
・充血
・まぶしさ
です。これは薬剤そのものの刺激によるもので、アルカリや強酸のような“化学やけど”を起こす物質ではありません。そのため、早期に十分な洗眼が行われれば、重い障害に進むことはまれです。
今後注意すべきこと
とはいえ、いくつか注意点があります。
① 角膜びらん(黒目の表面の傷)
刺激でこすってしまうと、角膜の表面に細かい傷がつくことがあります。
症状としては
・痛みが続く
・目を開けにくい
・涙が止まらない
などがあります。
通常は数日で自然に治りますが、症状が続く場合は再診が必要です。
② 遅れて出る炎症
当日は軽症でも、翌日に充血や目やにが増えることがあります。これは表面の炎症が遅れて出るためです。強くなる場合は点眼治療を行います。
③ 二次感染
小さな傷がある場合、まれに細菌感染を起こすことがあります。
・黄色い目やに
・まぶたの腫れ
・痛みの増強
があれば受診してください。
今回の経過について
このお子さんの場合、
・すぐに大量の水で洗った
・診察時に角膜混濁や潰瘍なし
・瞳孔反応正常
・軽い充血のみ
という点からみて、重篤な合併症の可能性は低い状態と考えられます。
もっとも重要だったのは「すぐに十分な流水で洗ったこと」です。これは非常に適切な対応でした。
ご家庭での対応のポイント
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すぐに流水で15分程度洗う
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こすらない
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痛みが強い、開けられない場合は眼科受診
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翌日も様子を見る
小さなお子さんは症状をうまく説明できません。
・光を嫌がる
・目を触り続ける
・片目を閉じている
といった様子があれば、念のため再診してください。
まとめ
ピレスロイド系殺虫剤が目に入った場合、多くは刺激性の一過性結膜炎で終わります。早期の洗眼が最も重要です。今回のように適切に洗浄され、診察でも軽症であれば、重い後遺症の心配は通常ありません。
ただし、痛みが長引く場合や症状が悪化する場合は、遠慮なく再受診してください。
「すぐ洗う」「様子を見る」「変なら受診」――これが基本です。
小さなお子さんの事故は突然起こります。噴霧時は顔の高さにかからないよう、十分ご注意ください。



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