緑内障

[No.1806] リパスジルとブリモニジンの固定用量併用療法の論文紹介:

清澤のコメント:コーワ社が製造するリパスジルとブリモニジンの合剤は、商品名「グラアルファ 配合点眼液」と呼ばれます。この点眼液は、緑内障・高眼圧症治療薬として使用されます。リパスジル塩酸塩水和物(グラナテック)とブリモニジン酒石酸塩(アイファガン)を配合したもので、ROCK阻害薬とα2作動薬が配合されています。リスパジルの商品名はグラナテック点眼液0.4%ブリモニジンの商品名はアイファガン点眼液0.1%です。これらの点眼薬は、リパスジルとブリモニジンを配合したグラアルファ配合点眼液にも含まれています。点眼の間をあける手間が不要で、点眼が容易になり、コンプライアインス向上も期待できます。コーワ社の担当者がこれらの緑内障点眼薬の紹介に立ち寄ってくれました。この薬剤の申請に当たっては私も治験施設管理者(investigator)として嘗て研究に参加した思い出のある薬剤でした。最近コーワ社から送られてきたアメリカ眼科学会雑誌の抄録を紹介しましょう。点眼薬剤の名称は処方医が覚えやすいように名付けられますが、論文はすべて薬剤の一般名で記載されますので、一介の眼科医にはやや覚え難いです。
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Epub 2022 Nov 21. (実際の印刷は2023年4月号)

Ripasudil-Brimonidine Fixed-Dose Combination vs Ripasudil or Brimonidine: Two Phase 3 Randomized Clinical Trials

Hidenobu Tanihara ほか。PMID: 36410471

 

これはFree articleです。

抄録:

リパスジルとブリモニジンの固定用量併用療法 vs リパスジルまたはブリモニジン: 2 つの第 3 相ランダム化臨床試験

DOI: 10.1016/j.ajo.2022.11.017

概要

目的: リパスジル – ブリモニジン固定用量配合剤 (RBFC、K-232) の眼圧 (IOP) 低下効果が、リパスジル 0.4% またはブリモニジン 0.1% 点眼液よりも優れていることを確認する。

デザイン: 2 つの前向き多施設共同ランダム化二重マスクまたは単一マスク実薬対照第 3 相試験。

方法: リパスジルまたはブリモニジン単独による治療中にIOPレベルが18 mm Hg以上であった原発開放隅角緑内障または高眼圧症の患者は、リパスジル対照試験において1:1の比率で2つのグループ(RBFC(リパスジル – ブリモニジン固定用量配合剤)およびリパスジル)に無作為に割り付けられ、ブリモニジン対照試験では、3 つのグループ(RBFC、ブリモニジン、リパスジルとブリモニジンの組み合わせ)を 2:2:1 の比率で割り当てました。割り当てられた治験薬は、1 日 2 回、8 週間にわたって点滴されました。有効性の主要評価項目は、点眼後 2 時間(午前 11 時)のベースラインから 4、6、8 週目までの IOP の変化でした。

結果: リパスジル対照試験には 206 人の患者が無作為に割り付けられました。IOPの変化は、RBFC群およびリパスジル群でそれぞれ-2.6および-1.2mmHgで、その差は-1.4mmHgでした(95%CI = -1.8〜-1.0mmHg; P < 0.001)。ブリモニジン対照試験にはランダム化された282人の患者が参加した。IOPの変化は、RBFC群とブリモニジン群でそれぞれ-3.4mmHgと-1.5mmHgで、その差は-1.8mmHgでした(95%CI=-2.3~-1.4mmHg;P<0.001)。最も頻繁に発生した有害事象は結膜充血でした。

結論: RBFC の IOP 低下効果は、リパスジルまたはブリモニジンよりも優れていました。

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Ripasudil-controlled trial investigators: 中略 ; Motohiro Kiyosawa, Kiyosawa Eye Clinic, Koto, Tokyo; 以下略

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