緑内障

[No.2459] 正常眼圧緑内障とは

コンタクトレンズ作成や、結膜炎など緑内障診療以外の目的で受診する患者さんに偶発的に正常眼圧緑内障が見つかることがしばしばあります。正常眼圧緑内障について、そのような患者さんに説明し、納得して治療を受けて戴くために説明するために、今日は症状、所見、診断、治療をまとめましょう。
正常眼圧緑内障という疾患は2000年頃に日本緑内障学会によって岐阜県多治見市で行われた多治見研究以後に、日本人ではむしろ眼圧が高い緑内障よりもはるかに頻度が高い疾患として着目され、現在の緑内障治療では主な治療対象となっている疾患です。**正常眼圧緑内障(NTG)**は、眼圧が10から21ミリメートル水銀柱という正常の範囲内であるにもかかわらず、視神経の障害(萎縮)が見られ、視野にも既に特有な欠損が有るという開放隅角緑内障の一種です。その要点をまとめます。
  1. 症状と所見:

    • NTGは初期段階では自覚症状が少ないことが多いですが、視野欠損が進行することで次第に症状が現れます。
    • 主な症状としては、視野の欠損がありますが、患者自身は気づきにくいことが多いです。
  2. 原因とリスク要因:

    • 正確な原因は不明ですが、眼圧が正常でも視神経が障害されていることが特徴です。
    • 個人差が大きいため、他の人との眼圧比較は意味がありません。
  3. 診断と検査:

    • 眼圧検査、隅角検査、視野検査、画像検査(ことに3次元眼底画像診断)が行われます。
    • 疑われる場合には視野検査で視野欠損を評価し、病気の有無と進行度を判定します。
  4. 治療:

    • 目的は視神経の障害の進行を抑えることです。
    • 点眼薬による眼圧の管理が基本で、視野欠損の程度などを見て必要に応じてレーザー治療や手術も行われます。
    • 極初期で視野欠損もわずかであるような場合、点眼治療開始を控えて半年後の再検査のための来院を指導することもあります。

正常眼圧緑内障は早期発見と適切な治療で視力を守ることができますので、患者さんに納得して治療を受けていただくように説明しましょう。

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