緑内障

[No.2551] 後期緑内障患者における視力低下と関連のある 視野部位の特定:論文紹介

後期緑内障患者における視力低下と関連のある 視野部位の特定

清澤のコメント:進行した緑内障で視力低下に直接かかわる視野欠損は、視神経乳頭黄斑線維束に相当する視野であるという結論。実臨床に置いて意味を持つ研究成果だと思う。多くの均質な緑内障症例を集めた見事な多施設協働研究とお見受けした。実際の視野欠損の例の図をネット上では見付けることができなかった。日眼会誌4月10日の採録記事から。

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朝岡  亮 ほか。

 本研究では,後期緑内障において視力の悪化に関連のある視野(Humphrey 視野計 10‒2)部位を特定した.対象は後期緑内障スタディの症例 175 175眼で,これらの症例は眼圧コントロールが良好で,Humphrey 視野計 24‒2 における mean deviationMD)値が-20 dB 未満か つ矯正視力が 20/40 以上のものであり,すべての患者で 半年ごとの経過観察が 5年間継続されていた.これらの データを用いて,視力の悪化および失明に関与する視野 の部位を解析した.経過観察期間中に 15.4%の症例で視力の悪化がみられた耳側の乳頭黄斑線維に該当する視野部位の感度が悪いほど視力の悪化が有意に多くみられ Cox 比例ハザードモデル),この部位の平均視野感度の視力悪化に対するオッズ比は 0.92p0.001)であった.さらに,経過観察期間中に 3.4%の症例で失明〔視力が 3/600.05)未満〕がみられたが,これについても視力の 悪化とまったく同様な傾向がみられた.結論として,後期緑内障患者においては,眼圧コントロールが良好であっても,乳頭黄斑線維に該当する視野部位の感度が悪い場合には視力低下のリスクが高く,十分な注意が必要であることが分かった.Identifying central 10°visual subfield associated with future worsening of visual acuity in eyes with advanced glaucoma. Br J Ophthalmol 10871-77, 2023.

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