日本の眼科2022年1号に山上明子先生が「神経眼科から見た目の痛みと羞明の鑑別診断と治療」について書かれています。主に痛みについての部分を抜粋してみます。 眼痛と羞明は眼球内以外の様々な疾患で生じる可能性があり、眼内に異常が見られない症例では眼科外脳内病変を鑑別するためにMRIを行う。薬剤による副作用の可能性や外傷の既往も除外する。ドライアイ治療抵抗性眼痛では眼瞼痙攣を疑う。ボツリヌス注射はジストニア軽減だけでなく、痛みや羞明に効果がある場合がある。三叉神経痛や心理社会的要因では神経因性要因に対する内服薬を用いる。 まず、障害受容性疼痛(nociceptive pain)、神経因性疼痛(neuropathic pain)、心理社会的疼痛(旧:心因性疼痛)に分ける。急性期と3か月以上の慢性疼痛に分ける。慢性疼痛ではうつを伴うことが多い。
1:眼球内に異常がないが眼痛を引き起こす疾患:
視神経炎、眼窩先端部症候群、眼筋炎、恒常性眼球運動障害、脳動脈瘤、帯状疱疹(初期)、Fisher 症候群。可能なら造影MRIを行う。
Ⅱ:羞明の原因となる眼球内以外の疾患:
視神経、視交叉、神経系(片頭痛、眼瞼痙攣など)、視床、精神疾患、薬剤性。
Ⅲ:眼球・羞明の鑑別診断:
眼内を精査し、次に脳内、眼科外の精査、薬剤も考える。眼瞼痙攣を除外する。 Ⅳ:眼球や羞明を引き起こす神経眼科的な疾患:①眼球運動障害(本日は省略)、②外傷性脳損傷・脳脊髄液減少症。③ 三叉神経障害、トリガーポイントあり、主訴は頭部・顔面の電撃様の突発的な激しい片側性の持ち上げる。④心理社会的要因(心因性要因)
Ⅴ:眼球羞明に対する治療:①原因となる疾患の治療や誘因薬剤の中止。②眼球運動障害の治療。(遮光眼鏡、クラッチ眼鏡、漢方、ボツリヌス)③ 痛みに対するボツリヌス治療(眼球や羞明も減少する。片頭痛にも使われる。機序には諸説あり)④ 神経因性要因・心理社会的要因への投薬 1)カルバマゼピン(テグレトール:抗てんかん薬)、2)プレガバリン(リリカ:神経障害性疼痛に)、3)低濃度シクロペントラート(調節緊張、眼精疲労に)
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