清澤のコメント：Japanese journal of ophthalmologyの最新号のメルマガ版が届きました。虚血性視神経症では上下の視野欠損がみられることが多いということが昔から言われていましたが、視神経炎においても同様の視野の特徴を持つケースが稀ならずあります。冠状断では視神経炎の視神経炎症部分のコントラストエンハンスが強まっており、それは視神経の前方には限られませんから、上下半盲に対応するエンハンスが視神経後部で強くみられるというこの論文の結論につながったのでしょう。冠状断とコントラストエンハンスがキーワードのようです。大学でも単一の施設では各群2桁の症例を集めることはむつかしいでしょうから、神経眼科学会の若手有力メンバーが症例を持ち寄ってこのような研究を進めることは今後も有意義なことと思われます。この研究の成功には最初によく練られたプロトコールが立てられていたことにあったと推測いたします。
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上下半盲を伴う初期視神経炎における磁気共鳴画像病変領域と視野欠損との構造機能相関：
Ochi Hほか、中村 真 ORCID: orcid.org/0000-0002-6464-43021
日本眼科学会雑誌 67 巻、618 ～ 627 ページ（2023 年）
抄録：
目的：上下半盲を伴う非動脈炎性前部虚血性視神経障害を対象として、上下半盲を伴う視神経炎の初期症例における磁気共鳴画像法（MRI）コントラスト強調（CE）領域と視野欠損（VFD）非対称性の空間的関連を研究すること。
研究デザイン: 多施設、横断研究。
メソッド：本研究は、眼窩造影脂肪抑制MRIを受けた上下半盲の視神経炎患者19名と非血管炎性虚血性視神経炎（NAION）患者20名で構成された。 信号強度比 (SIR) は、眼球の直後から視交叉まで 3 mm 間隔で 11 個の冠状切片における視神経の最大 コントラストエンハンスCE を大脳白質の平均 CE で割ることによって計算されました。 NAION グループの対応するセクションで SIR の平均プラス 2 標準偏差を超える SIR を示す ON 患者のセクションは異常とみなされます。 最大 SIR セクションの上部から下部の CE 非対称性と 詩や欠損VFD の対応部分の間の相関関係が決定されました。
結果：ON グループの最大 SIR は NAION グループよりも有意に高かった (1.77 ± 0.88 対 1.25 ± 0.32; P < .01)。 19 人の患者のうち 7 人は、眼窩頂点を超えて後方に広がる異常に高い CE を有するセクションを持っていました。 ON グループでは CE と VFD の非対称性の間に有意な空間的対応が観察されました (rs = 0.563; P = .015)が、NAION グループでは観察されませんでした (rs = − 0.048; P = .850)。
結論：AH を有する ON 患者は、脳内視神経においても CE を示すことが多く、中程度の構造と機能の対応を維持しています。
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