神経眼科

[No.264] 眼瞼下垂とは: 今日の治療指針2005:自著記事

病態と診断: 上眼瞼の挙上障害により上眼瞼が正常位置よりも下がり、生活に困難をきたす状態である。上眼瞼を挙上する上眼瞼挙筋が神経や筋の各レベルで障害されるものを含み、正位での角膜反射と眼瞼縁との距離が2mm以下であるか左右の瞼裂幅の差が2mm以上の時に診断する。ほかの理由で開瞼障害をきたす疾患を除外する必要があるが、本稿では偽眼瞼下垂などの治療も併記する。

治療方針:原因により、薬剤治療と手術を使い分ける。

A. 先天性眼瞼下垂

筋の発育以上による単純性先天性眼瞼下垂が最も多く、此の型は出生直後から見られて進行しない。約3/4が片眼性で 、顎を上げる特有な顔位を示す。弱視発生防止を主目的に挙筋機能のあるものには挙筋短縮を、乏しいものにはつり上げ手術を施す。

B. 後天性眼瞼下垂

1、老人性眼瞼下垂:加齢に伴い眼瞼挙筋が弱く薄くなるもので、挙筋短縮術を行う。コンタクトレンズ長期装用者もこれと類似の眼瞼下垂を示すことがある。

2.重症筋無力症:重症筋無力症には眼瞼下垂と複視を主な症状とする眼瞼型がある。全身症状と胸腺腫のない例ではぜんそくや房室ブロックなどを除外した上で点眼または経口で抗コリンエステラーゼ薬を投与する。無効な症例にはさらに経口ステロイド薬や免疫抑制剤を慎重に用いる。処方例:下記のいずれかを用いる。

1)1%ウブレチド点眼液 一日3回

2)マイテラーゼ錠(10mg)一錠 分1 朝必要に応じ慎重に増減

3)メスチノン錠(60mg)1錠 分1 朝必要に応じて慎重に増減

3、動眼神経麻痺 動眼神経麻痺でも複視と患側の瞳孔散大を伴い眼瞼が下垂する。糖尿病や高血圧によるものが多く、それを疑う時は薬剤を投与しつつ3か月程度観察すると緩解することが多い。画像診断による脳動脈瘤や腫瘍などの除外が特に重要である。眼位の安定後に斜視手術と合わせて吊り上げ手術を行うことが出来る。

処方例:メチコバール錠(500㎍)3錠 分3、毎正後。

4、Horner症候群:顔面の交感神経麻痺で起き患側の縮瞳と瞼板平滑筋麻痺による瞼裂狭小を示す。肺尖部腫瘍などの原因追及が必要だが、良性の物は経過観察してよい。末梢性で過敏性を獲得した症例にはピバレフリンやプリビナ点眼が有効な場合もある。整容を目的にした少量の挙筋短縮や選択的Muller筋短縮も可能である。

5、進行性外麻痺と筋緊張性ジストロフィー: 筋が進行性に変性萎縮する疾患でも眼瞼下垂が見られる。二重瞼用化粧テープやクラッチ付き眼鏡は、使用時のみ釣り上げるので危険が少ない。釣り上げよ手術はベル現象が減弱していると術後兎眼になるので少量手術を行う。

C:偽眼瞼下垂など

1,偽眼瞼下垂:下斜視では眼瞼挙筋が抑制され眼瞼も下垂する。症眼球や眼球労では後方支持が弱く瞼裂が狭小化する。視力がなければ表層義眼が美容的に有効な場合もある。老人に見られる眼瞼皮膚弛緩症は過剰な皮膚が正常な位置にある上眼瞼を越えるので皮膚切除を行う。

2,眼瞼けいれん及び開瞼失行に伴う開瞼困難:良性原発性眼瞼けいれん、Meige症候群、片側顔面けいれん、開瞼失行などでは上眼瞼挙筋と眼輪筋の収縮のバランスが中枢性に乱れ開瞼維持が困難である。このような症例にはボツリヌスA毒素を眼輪筋内に注射する療法が有用である。抗コリン薬、ベンゾジアゼピン薬なども用いられるが眠気などの副作用が強く、また長期に用いられた同系統の入眠剤エチゾラムが眼瞼けいれん発症に関連している症例報告もあるので注意が必要である。

処方例:ボトックス注、眼瞼けいれんの一眼周囲に5単位6か所注射 通常3-4か月効果が持続するが、症状が再発の際には再投与する。

■患者説明のポイント:眼瞼下垂は瞼を持続的に挙げておくことができない状態で、脳、神経そして眼瞼挙筋の障害など様々な原因でおこるものが混在している。額の筋肉の力を使って瞼を開いたり、顎を挙げて瞼裂の隙間から見ようとするので、強い肩こりや眼精疲労の原因にもなる。各々の症例での原因を明らかにし、妥当な治療を行うことで症状の軽減が図られる。

■看護・介護のポイント:薬剤によって改善が図られるものと、手術で改善を図る必要があるものがある。また、眼球運動障害が合併していて眼瞼下垂の改善が新たな複視出現を招く場合もあるので、症例ごとに異なった対応が必要である。

(出典:今日の治療指針 私はこう治療している2005の清澤源弘担当記事を参考に記載しましたが、再編部位もあります。)

◎次に記事は眼瞼下垂の以前のバージョンです

45 眼瞼下垂

ねこ下垂眼瞼下垂:
○正常の状態では上瞼の端は眼を普通に開いた状態で角膜の上の端から1-2mm下にあります。

○この上眼瞼が正常の位置よりも下がって瞼裂が狭くなっているのが眼瞼下垂です。多くは無害な先天性のものですが、後天性のものの中には重症筋無力症の初期症状であったり、脳動脈瘤による神経の圧迫によるものだったりして、本格的な治療が必要なものも含まれています。
先天性眼瞼下垂(http://maxshouse.com/ophthalmologyIDX.htm)

先天性下垂

 

 

重症筋無力症(http://www.myasthenia.org.au/html/symptoms.htm)myasthenia

 

動眼神経麻痺3rd

 

○ですから、個別に精密な検査が必要です。
私が南砂町で開業して、しばしば目にするのが、コンタクトレンズの無理な装用による眼瞼下垂です。その存在は古くから指摘されていましたが、古く汚れたコンタクトレンズを使用し続ける患者さんでは、慢性的な瞼の裏側の炎症が上眼瞼挙筋の劣化を引き起こすことがあります。治療はコンタクトレンズ使用を休止し、様々な抗炎症薬を使います。まだ使えると言わず、古くなったコンタクトは替えることが大切です。

○眼瞼下垂は手術して直すことができます。(http://www.ebroon.com/photos_6.html)
眼瞼下垂手術

 

コンタクトレンズによる眼瞼下垂も手術が可能です。(http://www.eyelidsurgery.co.uk/conditions/blb-ptosis.htm)一般に局所麻酔で20分くらいの手術です
CL下垂術前CL下垂術後 

 

 

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