東京都眼科医会の学術講演会に参加してきました。終わってからの情報交換会でのK先生との話題。開業に首座を移しても、今も大学病院に週一日参加して、多数の患者さんを診ていると羨ましいことでした。その中での症例:人の顔が縦に伸びたり縮んだりすると訴えた子供のお話。不思議の国のアリス症候群かと考えておいででしたが、以前に仲泊先生が講演で紹介されていた、相貌変形視(脚注)とも似ています。
不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland Syndrome, AIWS)は、視覚や感覚の異常を引き起こす珍しい神経学的症候群です。この症候群の名前は、ルイス・キャロルの児童文学『不思議の国のアリス』に由来し、アリスが大きくなったり小さくなったりするエピソードにちなんでいます。
- 症状の中核
不思議の国のアリス症候群の主な症状は、視覚や感覚の異常です。具体的には以下のような症状が見られます:
– **小視症(Micropsia)**:物が実際よりも小さく見える。
– **大視症(Macropsia)**:物が実際よりも大きく見える。
– **変視症(Metamorphopsia)**:物の形や大きさが歪んで見える。
– **時間感覚の異常**:時間が速く進んだり遅く進んだりするように感じる。
– **空中浮遊感**:自分が空中を浮遊しているように感じる。
– **現実感の喪失**:現実感が薄れ、離人症状が現れることがある。
◎ 脳内の病変部位
不思議の国のアリス症候群の原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています:
– **エプスタイン・バールウイルス(EBウイルス)**:このウイルスの初期感染による中枢神経系の炎症が報告されています。
– **偏頭痛**:多くの患者が偏頭痛を持っており、偏頭痛の前兆として症状が現れることがあります。
– **脳炎やてんかん**:他のウイルスによる脳炎やてんかんの患者からも報告されています。
– **向精神薬**:一部の向精神薬によっても症状が引き起こされることがあります。
脳の特定の部位に限局した病変は報告されていませんが、広範囲の大脳皮質が関与していると示唆されています。
- 一般的予後
不思議の国のアリス症候群の予後は比較的良好です。多くの場合、症状は一過性であり、数分から数時間で収まることが多いです。ただし、何日も続く場合もあります。治療は主に症状の管理と生活習慣の改善に焦点を当てます。具体的には以下のような対策が推奨されます:
– **規則正しい生活**:十分な睡眠を取り、ストレスを避けることが重要です。
– **偏頭痛の管理**:偏頭痛が原因の場合、偏頭痛の予防と管理が重要です。
– **医師の診察**:症状が続く場合や重篤な場合は、神経内科や脳神経外科、神経眼科の専門医の診察を受けることが推奨されます。
不思議の国のアリス症候群は、命に関わる病気ではありませんが、患者やその家族にとっては不安を引き起こすことがあります。適切な診断と治療を受けることで、症状を管理し、日常生活を送ることが可能です。
: [Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4)
: [いこーよ](https://iko-yo.net/articles/3985)
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追記脚注;「Prosopometamorphopsia(相貌変形視)」
(https://www.thelancet.com/doi/story/10.1016/pic.2024.03.21.109783)
他人の顔が醜悪に歪んで見える症状の英語名は「Prosopometamorphopsia(相貌変形視症)」です – WebMD](https://www.webmd.com/brain/prosopometamorphopsia)。この症状は「Demon Face Syndrome(悪魔の顔症候群)」とも呼ばれます – WebMD](https://www.webmd.com/brain/prosopometamorphopsia)。
### 症状
相貌変形視症の主な症状は以下の通りです:
– **顔の歪み**:他人の顔が悪魔のように醜く歪んで見える。
– **限定的な歪み**:顔の歪みは直接見た場合にのみ現れ、写真や映像では正常に見える。
– **顔の部分的な歪み**:顔全体が歪む場合もあれば、顔の左右のどちらか半分だけが歪む場合もあります。
### 脳での病変局在
相貌変形視の原因は、脳の視覚領域に異常があることが多いです。具体的には以下の部位が関与していると考えられています:
– **側頭葉**:顔の認識に関与する領域。
– **後頭葉**:視覚情報の処理に関与する領域。
– **脳梁膨大部**:左右の脳半球間の情報伝達を担う部位。
相貌変形視は非常に稀な症状であり、報告されている症例は少ないですが、適切な診断と治療を受けることで症状の管理が可能です。
: [Wikipedia](https://en.wikipedia.org/wiki/Prosopometamorphopsia)
– WebMD](https://www.webmd.com/brain/prosopometamorphopsia): [WebMD](https://www.webmd.com/brain/prosopometamorphopsia)
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