神経眼科

[No.3380] 複視とは?:原因と治療の概要を述べましょう。

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複視とは?

複視とは、物が二重に見える症状のことを指します。これには単眼性複視両眼性複視の2種類があります。

  • 単眼性複視:片眼を閉じてもダブりが残る場合。

  • 両眼性複視:両眼を開いているときだけ物が二重に見え、片眼を閉じると正常に見える場合。

それぞれ原因や治療法が異なるため、以下で詳しく説明します。


単眼性複視の原因と治療

単眼性複視は、通常、眼の屈折異常や眼球自体の問題によって引き起こされます。主な原因には次のようなものがあります。

  1. 乱視:角膜や水晶体の歪みにより、光が適切に屈折しないために複視が生じます。

    • 治療:メガネやコンタクトレンズによる矯正。

  2. 白内障:水晶体の濁りにより光が乱反射し、物が二重に見えることがあります。

    • 治療:白内障手術による水晶体の置換。

  3. 角膜疾患(円錐角膜、角膜混濁など):角膜の形状が不規則になることで複視が起こる。

    • 治療:ハードコンタクトレンズや角膜移植。

  4. 眼内レンズのずれ(白内障手術後):人工レンズが適切な位置にない場合、単眼性複視が生じる。

    • 治療:レンズの調整や再手術。


両眼性複視の原因と治療

両眼性複視は、両眼の視線が正しく一致しないことによって生じます。主に次の3つの原因が考えられます。

① 眼窩内疾患によるもの

(1) 外眼筋炎

  • 眼の動きを制御する外眼筋が炎症を起こし、眼球運動に制限がかかることで複視が生じる。

  • 治療:ステロイド治療や免疫抑制剤。

(2) 重症筋無力症

  • 眼の筋肉が正常に機能しなくなり、眼球の動きが制限される。

  • 治療:抗コリンエステラーゼ薬や免疫療法。

(3) 甲状腺眼症(バセドウ病関連)

  • 甲状腺機能亢進により眼球周囲の組織が腫れ、眼球運動が障害される。

  • 治療:甲状腺治療、ステロイド療法、放射線療法。

② 頭蓋内の脳神経麻痺によるもの

眼球を動かす3つの主要な神経が障害されると複視が発生します。

(1) 動眼神経麻痺(第Ⅲ脳神経)

  • 瞼が下がる(眼瞼下垂)、眼が外側と下方に偏る。

  • 原因:糖尿病、高血圧、動脈瘤、腫瘍など。

  • 治療:原因疾患の治療(血糖管理、血圧管理)、ステロイド治療。

(2) 滑車神経麻痺(第Ⅳ脳神経)

  • 物が斜めにダブって見える。

  • 原因:頭部外傷、脳腫瘍など。

  • 治療:眼鏡にプリズムを入れる、自然回復を待つ、手術。

(3) 外転神経麻痺(第Ⅵ脳神経)

  • 片眼が外側を向きにくくなり、遠くを見る際に複視が生じる。

  • 原因:糖尿病、高血圧、頭蓋内圧亢進。

  • 治療:血糖コントロール、手術、眼鏡のプリズム補正。

③ 脳幹や脳内病変によるもの

(1) 脳幹の循環障害(脳卒中)

  • 突然の複視やめまい、麻痺を伴うことが多い。

  • 治療:血栓溶解療法(t-PA)や抗凝固療法。

(2) 脳腫瘍

  • 腫瘍が神経を圧迫し、眼球運動に障害をきたす。

  • 治療:外科的摘出、放射線治療、化学療法。

(3) 多発性硬化症

  • 神経の炎症により、視神経や脳幹が影響を受ける。

  • 治療:ステロイド療法や免疫抑制療法。


複視の診断方法

  • 問診:いつから発症したか、片眼でも二重に見えるか。

  • 眼科検査:視力検査、眼球運動のチェック。

  • 神経学的検査:脳神経機能評価。

  • 画像診断:MRI、CTスキャンで脳や眼窩の状態を確認。


まとめ

複視には単眼性複視両眼性複視があり、それぞれ原因や治療法が異なります。単眼性複視は屈折異常や白内障などの眼の問題が原因であり、メガネや手術での対応が可能です。一方、両眼性複視は神経や筋肉の異常によることが多く、糖尿病、脳卒中、甲状腺疾患など全身疾患が関与していることもあります。そのため、適切な診断と治療が重要です。また斜視と言って動きの悪い筋肉が特定しずらいのに、元々の眼位(眼の向き)が左右でマッチしていない場合もあります。気になる症状があれば、早めに眼科や神経内科を受診しましょう。

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