神経眼科

[No.3396] 中年男性で中心性漿液性網脈絡膜症、上強膜炎、顎下腺炎なら?

「顎下腺炎」「上強膜炎」「漿液性網脈絡膜症(CSC・パキコロイドパチー)」を

示す中年男性が年余にわたり緩徐に併発している場合、考えられる疾患は何かを調べてみました。


 各病態の確認

病態 主な特徴
顎下腺炎 唾液腺腫脹。IgG4-RDやサルコイドーシスなどで慢性経過を取ることあり。
上強膜炎 自己免疫性(IgG4-関連疾患(RD)、慢性関節リウマチ(RA)、ベーチェット、サルコイドーシス)など。緩徐進行なら慢性炎症性疾患の可能性。
CSC / パキコロイドパチー 中年男性に多く、脈絡膜肥厚、慢性経過で視力低下を来す。ステロイド投与が誘因となることあり。

✅ 患者背景を踏まえた考察

項目 内容
年齢 55歳 → IgG4関連疾患やCSCの好発年齢に一致
性別 男性 → IgG4-RD、CSCともに男性優位
経過 年余にわたる緩徐進行 → 急性炎症性疾患よりも、慢性・自己免疫・線維化性疾患が考えられる

✅ 最も疑われる疾患:IgG4関連疾患(IgG4-related disease)

理由:

  • 顎下腺炎:IgG4-RDの初発臓器の一つ(ミクリッツ病様)。

  • 上強膜炎:IgG4関連眼疾患の代表的な症状(特に眼窩偽腫瘍型や強膜炎型)。

  • CSC:IgG4-RDそのものによるCSCは報告少ないが、治療で使われるステロイドがCSC(特にパキコロイド)を誘発しうる。

  • 緩徐進行する慢性炎症性疾患として、年余の経過と一致。

  • 中年男性に好発。


🔍 鑑別に挙がる他疾患

疾患名 鑑別根拠 除外ポイント
サルコイドーシス 顎下腺・強膜・脈絡膜病変ありうる CSCとの直接関連薄く、55歳男性にはやや少ない
シェーグレン症候群 顎下腺炎あり 女性に多く、強膜炎・CSCとの関連弱い
ベーチェット病 強膜炎あり 顎下腺炎・CSCとの関連が弱く、他の主要症状(口腔潰瘍など)がなければ考えにくい

✅ 推奨検査

  • 血液検査:IgG4, IgE, 好酸球、CRP/ESR

  • 画像:頸部MRI(顎下腺肥大の分布)、胸部CT(肺・縦隔リンパ節)

  • 眼科:OCT(CSC)、ICG蛍光(パキコロイドの確認)、眼窩MRI(強膜・筋肥厚)

  • 病理(必要に応じて):唾液腺生検(IgG4陽性形質細胞の浸潤)


✅ まとめ

55歳男性が、年余にわたり「顎下腺炎」「上強膜炎」「CSC(パキコロイドパチー)」を呈する場合、IgG4関連疾患が最も疑われる疾患です。

ステロイド治療に伴うCSCの発症も含め、全身性の慢性炎症性疾患として包括的な評価が推奨されます。

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