「顎下腺炎」「上強膜炎」「漿液性網脈絡膜症(CSC・パキコロイドパチー)」を
示す中年男性が年余にわたり緩徐に併発している場合、考えられる疾患は何かを調べてみました。
各病態の確認
病態 | 主な特徴 |
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顎下腺炎 | 唾液腺腫脹。IgG4-RDやサルコイドーシスなどで慢性経過を取ることあり。 |
上強膜炎 | 自己免疫性(IgG4-関連疾患(RD)、慢性関節リウマチ(RA)、ベーチェット、サルコイドーシス)など。緩徐進行なら慢性炎症性疾患の可能性。 |
CSC / パキコロイドパチー | 中年男性に多く、脈絡膜肥厚、慢性経過で視力低下を来す。ステロイド投与が誘因となることあり。 |
✅ 患者背景を踏まえた考察
項目 | 内容 |
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年齢 | 55歳 → IgG4関連疾患やCSCの好発年齢に一致 |
性別 | 男性 → IgG4-RD、CSCともに男性優位 |
経過 | 年余にわたる緩徐進行 → 急性炎症性疾患よりも、慢性・自己免疫・線維化性疾患が考えられる |
✅ 最も疑われる疾患:IgG4関連疾患(IgG4-related disease)
理由:
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顎下腺炎:IgG4-RDの初発臓器の一つ(ミクリッツ病様)。
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上強膜炎:IgG4関連眼疾患の代表的な症状(特に眼窩偽腫瘍型や強膜炎型)。
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CSC:IgG4-RDそのものによるCSCは報告少ないが、治療で使われるステロイドがCSC(特にパキコロイド)を誘発しうる。
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緩徐進行する慢性炎症性疾患として、年余の経過と一致。
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中年男性に好発。
🔍 鑑別に挙がる他疾患
疾患名 | 鑑別根拠 | 除外ポイント |
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サルコイドーシス | 顎下腺・強膜・脈絡膜病変ありうる | CSCとの直接関連薄く、55歳男性にはやや少ない |
シェーグレン症候群 | 顎下腺炎あり | 女性に多く、強膜炎・CSCとの関連弱い |
ベーチェット病 | 強膜炎あり | 顎下腺炎・CSCとの関連が弱く、他の主要症状(口腔潰瘍など)がなければ考えにくい |
✅ 推奨検査
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血液検査:IgG4, IgE, 好酸球、CRP/ESR
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画像:頸部MRI(顎下腺肥大の分布)、胸部CT(肺・縦隔リンパ節)
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眼科:OCT(CSC)、ICG蛍光(パキコロイドの確認)、眼窩MRI(強膜・筋肥厚)
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病理(必要に応じて):唾液腺生検(IgG4陽性形質細胞の浸潤)
✅ まとめ
55歳男性が、年余にわたり「顎下腺炎」「上強膜炎」「CSC(パキコロイドパチー)」を呈する場合、IgG4関連疾患が最も疑われる疾患です。
ステロイド治療に伴うCSCの発症も含め、全身性の慢性炎症性疾患として包括的な評価が推奨されます。
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