
A; 視覚刺激に伴って悪心や嘔吐が誘発される疾患はいくつか知られています。代表的なものを整理してみます。
① 片頭痛(特に前兆を伴う片頭痛)
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特徴: 光過敏(photophobia)やちらつき、視野の歪みなどの視覚前兆が出現します。
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症状: 発作期には悪心・嘔吐がしばしば強く伴います。視覚刺激(強い光、ちらつき、画面の点滅など)が引き金となることもあります。
② 乗り物酔い・動揺病(Motion sickness, Visual induced motion sickness)
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特徴: 実際の体の動きと視覚情報が一致しない場合に発症。
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例: 映画館の3D映像、VR(仮想現実)ゴーグル、長時間のスクリーン注視。
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症状: 悪心、嘔吐、冷や汗、めまい。
③ 良性発作性頭位めまい症(BPPV)などの前庭疾患
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特徴: 急な頭位変換や視覚刺激でめまいが誘発されます。
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症状: 眼振とともに悪心・嘔吐が強く出る場合があります。
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視覚要素: 眼振を伴う異常な動揺感を「視覚刺激」でさらに増悪することがあります。
④ 光過敏やてんかん(光感受性てんかん)
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特徴: 点滅光(テレビ・ゲームなど)が発作を誘発する。
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症状: 典型的にはけいれん発作ですが、発作前後に悪心や嘔吐を伴う場合もあります。
⑤ 中枢疾患(腫瘍・髄膜炎・脳圧亢進)
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特徴: 視覚刺激そのものが直接の原因というよりも、視覚情報処理に伴う頭蓋内圧上昇の影響で吐き気を誘発。
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症状: 視覚異常に加えて頭痛や持続的な嘔吐。緊急性を要する病態です。
まとめ
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最も一般的なのは「片頭痛」と「動揺病(VR酔い含む)」です。
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小児や若年者では視覚性の片頭痛やゲーム酔いが多く、
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高齢者ではBPPVなど前庭疾患に伴うものが目立ちます。
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まれに中枢疾患が背景にあることもあるため、反復する強い吐き気を伴う視覚異常では注意が必要です。
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