清澤のコメント:東京都医師会の情報誌「元気がいいね」10.11月号に慢性腎臓病(CKD)の記事が出ています。
慢性腎不全は、腎臓の機能が数か月から数十年にわたって徐々に低下し、腎臓のろ過能力が正常時の30%以下となって、体内の正常な環境を維持できない状態のことを指します1。通常は腎臓には心臓からの血液の20%が流れ、毎日200リットルの血液をろ過します。その他体液量や血圧の調整を図り、ミネラルやpHを調整します。この機能低下の状態はCKD(Chronic Kidney Disease)とも呼ばれます2。
腎臓は血液から老廃物をろ過し、尿を作り出す重要な臓器です。その機能が低下すると、血液中の老廃物が体内に蓄積され、さまざまな症状を引き起こします。具体的な症状としては、尿量の変化(夜間の尿が増加する、早朝の尿の色が薄くなる、尿量が極端に減少する)、尿毒症(むくみ、疲労感、食欲不振、かゆみ、動悸、息切れなど)、その他の症状(貧血、高血圧、骨がもろくなるなど)があります2。
慢性腎不全の主な原因は糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などです2。これらの疾患は腎臓にダメージを与え、その結果として腎機能が低下します。
治療方法は腎機能の低下の程度によりますが、基本的には生活指導(適度な運動や水分補給、十分な睡眠など)、食事療法(塩分やたんぱく質制限など)、薬物治療(血圧・血糖値・血中脂質をコントロールするための薬)が行われます2。さらに進行した場合は透析治療や腎移植が必要となることもあります2。
慢性腎不全と眼疾患との間には関連性があります。慢性腎臓病の患者さんは、全身にさまざまな症状が現れます。その中でも、生活に直結するような症状は見過ごすことができないのではないかと思います。そんな症状の一つが「目の病気」です1。
尿毒症とは、腎機能が低下することにより、尿中に排泄されるべき老廃物等が血液中に蓄積することで引き起こされる中毒症状です。全身の臓器や神経に何らかの症状が及び、目においては視力低下や眼底出血の原因となる可能性が考えられます1。
また、腎臓疾患は、高血圧や貧血などの合併症を引き起こします。これらの合併症は網膜に対して悪影響を及ぼして、浮腫や出血を引き起こします1。さらに、人工透析治療も視力低下の原因になるケースも考えられます1。
したがって、慢性腎不全を持つ患者さんは定期的な眼科検診を受けることが重要です1。
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