傾斜乳頭症候群(tilted optic disc syndrome)は近視に伴う一種の視神経乳頭の生まれつきの変形ですが、その原因や症状を分かり易く説明しましょう。
傾斜乳頭症候群(Tilted Optic Disc Syndrome)
傾斜乳頭症候群(Tilted Optic Disc Syndrome, TDS)は、視神経が眼球に対して斜めに挿入されることによって生じる先天性の視神経乳頭異常です。この状態は主に高度近視の患者に見られます (Stanford Neuro-Ophthalmology) (Patient Care Online)。
原因
傾斜乳頭症候群の正確な原因は不明ですが、以下の理論が提案されています:
- 胚発生過程の異常: 胚の発生過程で視神経裂が完全に閉じないことが原因とされることがあります (Ophthalmology Review)。
- 視神経の形成不全: 視神経頭の下内側部分の形成不全が影響しているとされています (Patient Care Online)。
症状
傾斜乳頭症候群の主な症状には以下のものがあります:
- 視野欠損: 主に両側性の傾斜乳頭では、上側の傍中心および側頭部の視野欠損が見られることがあります。これらの視野欠損は、垂直経線を尊重しないことが特徴です (Stanford Neuro-Ophthalmology)。
- 視覚障害: 視力そのものには問題がない場合が多いですが、視野欠損により視覚的な不便を感じることがあります (Patient Care Online)。
- 眼底の異常: 傾斜乳頭の患者の眼底では、網膜血管の位置異常や網膜色素上皮および脈絡膜の薄化が見られ、視神経乳頭の下部に露出した強膜の帯(クレセント)が観察されることがあります (Patient Care Online)。
診断
傾斜乳頭症候群は眼底検査や視野検査、光干渉断層撮影(OCT)などを用いて診断されます。これらの検査により、視神経乳頭の形態異常や視野欠損のパターンが確認されます。
治療
傾斜乳頭症候群は基本的に進行しないため、特別な治療は必要ありません。ただし、視力矯正や視野欠損のモニタリングが重要です。また、傾斜乳頭症候群と類似の症状を示す他の疾患(例:視交叉病変)を除外するために、詳細な診断が行われることがあります (Ophthalmology Review) (Stanford Neuro-Ophthalmology) (Patient Care Online)。
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