全身病と眼

[No.3068] 三条天皇の眼疾は水銀中毒だったという説があります

三条天皇の眼疾は?

実家に帰った折にNHKの「光る君へ」を初めて見ました。紫式部と道長の物語ですが、今も昔も宮仕えは厳しいものだと感じました。さて、今回の話題では三条天皇と道長のさや当てが激しいものであったようですが、これから描かれる三条天皇の退位には眼疾患(水銀中毒)が絡んでいたらしいです。

三条天皇の眼病は何だったのでしょうか?白内障?緑内障?気になります。また、その後の死因に関連はあったのでしょうか?

三条天皇は、視力の低下に悩まされていました。特に片目の視力が著しく低下していたとされています。この視力低下の原因は、当時の医学では十分に理解されておらず、霊的な原因や呪いと結びつけられることもありました。

また、三条天皇は治療のために水銀を含む薬を服用していましたが、これが逆に健康を悪化させた可能性があります。水銀は神経にダメージを与えることがあり、長期間の服用により中毒症状を引き起こすことがあります。

三条天皇の死因は、視力や聴力の低下だけでなく、全身の健康状態の悪化が影響していたと考えられます。視力と聴力の問題は、政治を行う上で大きな障害となり、最終的には退位を余儀なくされました。死因には、これらの健康問題が大きく関与していたとされています。

三条天皇は退位後に亡くなりました。彼は1016年に退位し、その後、1017年に42歳で亡くなりました。視力や聴力の低下、そして水銀中毒の影響が彼の健康を悪化させ、最終的には死因に繋がったとされています。

では、成人で慢性の水銀中毒を起こす場合の症状には何があるのでしょうか。また、その場合の水銀摂取量はどの程度なのでしょうか?

慢性の水銀中毒を引き起こす場合、以下のような症状が現れることがあります:

  1. 神経系の症状: 手足のしびれ、震え、運動失調(歩行困難やバランスの喪失)、視野狭窄、言語障害、難聴など。

  2. 消化器系の症状: 腹痛、吐き気、嘔吐、下痢。

  3. 精神的な症状: 不安、うつ、記憶障害、集中力の低下。

  4. その他の症状: 口の中の金属味、筋力低下、呼吸困難。

水銀の摂取量については、一般的に成人が慢性中毒を起こす可能性があるのは、長期間にわたり高濃度の水銀を摂取した場合です。具体的な摂取量は個人差がありますが、例えば、メチル水銀の場合、世界保健機関(WHO)は耐容週間摂取量(PTWI)を体重1kgあたり1.6μgとしています。これは、体重50kgの成人であれば、1週間に約80μgのメチル水銀を摂取することが許容される量となります。

水俣病患者の水銀摂取量はどの程度でしたか?

水銀中毒といえば思い出されるのが水俣病。水俣病は、熊本県水俣湾周辺で発生した公害病で、主にメチル水銀による中毒が原因です。水俣病患者の水銀摂取量は、通常の食事から摂取する量を大幅に超えていました。具体的な摂取量は個人差がありますが、一般的には長期間にわたり高濃度のメチル水銀を含む魚介類を摂取したことが原因とされています。

金属水銀と有機水銀は中毒学的には同等なのですか?

金属水銀と有機水銀は中毒の影響や毒性の面で異なります。

金属水銀

  • 形態: 常温で液体の金属。

  • 毒性: 金属水銀自体は消化管からの吸収が非常に低いため、経口摂取による毒性は比較的低いです。しかし、蒸気として吸入すると肺から吸収され、神経系に深刻な影響を及ぼします。

  • 中毒症状: 手足の震え、記憶障害、情緒不安定、口内炎など。

有機水銀

  • 形態: メチル水銀やエチル水銀など、炭素と結合した形態。

  • 毒性: 有機水銀は消化管から高率で吸収され、体内に蓄積されやすいです。特にメチル水銀は神経毒性が強く、胎児や幼児に対する影響が大きいです。

  • 中毒症状: 感覚障害、運動失調、視野狭窄、言語障害、難聴など。

金属水銀は主に蒸気として吸入することで中毒を引き起こし、有機水銀は経口摂取によって中毒を引き起こします。どちらも神経系に影響を与えますが、有機水銀の方が消化管からの吸収率が高く、より強い毒性を持っています。

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