全身病と眼

[No.3214] 高齢者の肺炎に気をつけましょう:「市中肺炎(Community-Acquired Pneumonia; CAP)」について

高齢者の肺炎に気をつけましょう

毎月、眼科の診療に通ってくださっていた患者さんが、肺炎で2週間入院された後、残念ながらお亡くなりになったとのご連絡を受けました。心よりお悔やみ申し上げます。この出来事をきっかけに、同級生で保健所勤務の星君が「市中肺炎(Community-Acquired Pneumonia; CAP)」についての情報を教えてくださいました。

ここでは、高齢者をはじめ、多くの人にとって注意が必要な「市中肺炎」についてお話しします。


市中肺炎とは?

市中肺炎とは、病院以外の生活環境で感染する肺の病気です。特に高齢者や持病を持つ方に多く見られます。アメリカでは毎年約140万人が市中肺炎で救急外来を受診し、そのうち約4万人が命を落としているという報告があります。

リスク要因として以下が挙げられます:

  • 65歳以上の高齢者
  • 喫煙者
  • 慢性肺疾患や糖尿病、がんなどの持病
  • 免疫力が低下している方

主な症状と診断方法

市中肺炎の典型的な症状には以下があります:

  • 発熱
  • 息切れ
  • 倦怠感

診断には、胸部画像検査(X線やCTスキャン)やインフルエンザ、COVID-19検査が行われます。


治療法

  • 軽症の場合、抗生物質(アモキシシリンやドキシサイクリン)を3日間ほど服用することで治療が可能です。
  • 重症の場合には入院が必要で、集中治療や人工呼吸管理が行われることがあります。

予防法

市中肺炎を予防するためには以下のポイントが重要です:

  1. 禁煙を心がける
  2. 予防接種を受ける
    肺炎球菌、インフルエンザ、COVID-19、RSV(呼吸器合胞体ウイルス)の予防接種を適切に行いましょう。
  3. 日々の口腔ケアを徹底する
    歯磨きや歯科ケアは肺炎予防に有効です。
  4. 食事姿勢に注意する
    飲み込みにくい方は、誤嚥を防ぐために正しい姿勢で食事をとるようにしましょう。

最新の知見:コルチコステロイドの使用

2025年1月8日付けのJAMAにおいて、「敗血症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、市中肺炎に対するコルチコステロイドの使用」に関するガイドラインが発表されました。この研究では、重篤な肺感染症におけるコルチコステロイドの使用が、調節不全の炎症反応を抑える役割を果たす可能性があることが述べられています。


まとめ

高齢者にとって市中肺炎は命に関わる重大な病気です。しかし、日常生活の中で予防に努めることで、そのリスクを大幅に減らすことができます。また、異変を感じた際には早めに医療機関を受診することが重要です。

詳しく知りたい方は、2025年1月9日にJAMAネットワークに掲載された「What Is Community-Acquired Pneumonia?」もご参照ください。

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