全身病と眼

[No.3416] 急性冠症候群ガイドラインから臨床医が学ぶべき7つのこと:

急性冠症候群ガイドライン改訂版からプライマリケアの臨床医が学ぶべき7つのこと

リンダ・ロジャース1 JAMA2025328日にオンラインで公開。doi:10.1001/jama.2025.2931

眼科医清澤のコメント:米国では毎年約 120 万人が 急性冠症候群(ACS) で入院しているという。翻って、私の知り合いでも心疾患でアブレジョンなどの治療を受けた人が多数いるし、また昨年は落命した方も居た。この米国医師会雑誌の論説はプライマリー臨床医向けとされているが、眼科医でも医師たるもの、このような疾患に対する基本的なコンセプトは耳に留めて置き、緊急時搬送先についても予め目途をつけておくことが必要と思う。自由が丘であれば、東京医療センター、中目黒共済病院、昭和大学病院あたりであろうか?

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ACC によるとACS は、不安定なコレステロールプラークから生じた血栓によって心臓への血液の流れが遅くなったり完全に遮断されたりすることで発生する 3 つの状態を指す(注)。これらの状態には、不安定狭心症と 2 種類の心筋梗塞が含まれる。1 つ目は非 ST 部分上昇型心筋梗塞 (NSTEMI) で、不完全な動脈閉塞によって起こる心臓発作であり、心電図 (ECG) では検出できない。もう 1 つはより重篤な STEMI で、完全な閉塞によって起こる心臓発作で、血液検査と ECG の両方で検出できる。

注1;不安定狭心症以外の心筋梗塞には、以下の2種類が含まれます

  1. 非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI): 冠動脈が部分的に塞がれることで起こり、心電図でSTセグメント上昇が見られません。心筋への血流が一部阻害されるため、心筋壊死が発生します。

  2. ST上昇型心筋梗塞(STEMI): 冠動脈が完全に閉塞され、心電図でSTセグメント上昇が認められる重篤な状態。完全な血流阻害が起きて心筋壊死が進行しやすく、緊急治療が必要です。

以下に、この論説が挙げた7項目の要約を記す:

  1. PCI(経皮的冠動脈形成術)の改良:主要閉塞以外の血管にもPCIを施すことが、STEMI患者で安定している場合には推奨されています。
  2. 手首の血管(ラジアル動脈)を使用PCIで手首の血管を使用することが大腿動脈よりも出血リスクを最小化するとして推奨されています。
  3. 多血小板薬の選択:効果が早いチカグレロルやプラスグレルを優先し、クロピドグレルの使用は減少しています。
  4. 二重抗血小板療法(DAPT)の調整:出血リスクが高い患者には、薬を調整する柔軟な戦略が推奨されています。
  5. LDLコレステロールの積極的な低下:目標値を70 mg/dL未満、さらには55 mg/dLまで低下させることが推奨されています。
  6. 心臓リハビリの推進:退院前に外来リハビリへの早期紹介が推奨され、その効果は死亡率や心臓発作のリスクを減少させます。
  7. インフルエンザ予防接種の推奨:毎年の接種が死亡率や重大な心血管イベントのリスク軽減に繋がるため強く推奨されています。
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