新型コロナ感染後に「目」にも後遺症?——眼精疲労や目の痛みの正体と対策
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、呼吸器の病気として知られていますが、回復後にもさまざまな後遺症(いわゆる「ロングコロナ」)を残すことがあります。その影響は全身に及び、目にも症状が現れることが少なくありません。今回は、コロナ後に目に生じやすい代表的な症状やその原因、対策についてお話しします。
よく見られる「目の後遺症」
- 眼精疲労(がんせいひろう)
コロナ後の倦怠感や集中力低下と並行して、「目が疲れやすい」「かすむ」「ピントが合いにくい」と訴える人が多く見られます。これは、全身の自律神経の乱れやドライアイ、脳の情報処理の遅れなどが関係していると考えられます。 - 目の奥の痛み・頭痛
「目の奥が重い」「目を動かすと痛い」と感じる方もおられます。これは副鼻腔炎や神経の炎症によるもの、あるいは眼筋の軽い炎症の可能性があります。ときには脳の中の視覚に関係する部位の炎症や、視神経の不調も関与しているとされます。次に記すドライアイに関連することもあります。 - ドライアイの悪化
コロナ後は涙の分泌が減ることもあり、「目がしょぼしょぼする」「しみる」といった症状が強く出ることがあります。とくに在宅勤務や自宅療養が続いたことで、スマートフォンやパソコンの使用時間が長くなり、瞬きの回数が減っていることも一因です。 - 霧視(視界がぼやける)・視力の変動
一時的に視界が白っぽくかすむ、視力が日によって変わるという訴えもあります。これは自律神経の不調やドライアイ、網膜や視神経の軽い炎症などが関係している場合があります。 - 光過敏・羞明(まぶしさ)
「以前より光がまぶしく感じる」「日中に外出すると目が開けにくい」という症状も報告されています。これは神経系の過敏状態や目の中の軽い炎症によるものと考えられています。
なぜこのような目の症状が起きるのか?
新型コロナウイルスは、全身の血管や神経、免疫系に影響を与えることがわかっています。特に「自律神経」のバランスが崩れると、目のピント調節や涙の分泌にも支障が出やすくなります。また、ウイルスが体内に入った際の免疫反応や炎症が、目やその周辺の神経にダメージを与える場合もあるのです。
さらに、コロナ感染中および療養後の生活の変化(長時間のデジタル機器使用、運動不足、睡眠の質の低下など)が、目の不調を長引かせる一因になっています。
対策はどうすればいい?
- 目を休ませる習慣を意識しましょう
長時間のスマホやパソコン使用の合間には、意識して目を閉じたり、遠くを見たりして目を休めましょう。1時間に5~10分は画面を見ない時間を作るのが理想です。 - ドライアイ対策を
乾きやしょぼつきを感じたら、市販の人工涙液や点眼薬で目を保湿しましょう。医療機関での診断で、涙点プラグや専門的な点眼治療が勧められる場合もあります。 - 睡眠と生活リズムの改善
自律神経の回復には良質な睡眠が欠かせません。夜更かしや不規則な食生活を見直し、生活リズムを整えることが目の不調にもつながります。鬱症状に対しては抑肝散加陳皮半夏なども処方できます。 - 痛みや視力変化が続く場合は眼科受診を
目の奥の痛みや視界の変化が長引く場合、単なる疲れ目ではなく、神経炎や視神経障害の可能性もあります。自己判断せず、専門医の診察を受けてください。
最後に
新型コロナ感染後の「目の後遺症」は見逃されがちですが、生活の質に大きく関わる重要な症状です。長引く疲れや不調を「気のせい」と片付けず、早めの対策と相談を心がけましょう。目にやさしい生活習慣を取り戻すことが、全身の回復にもつながります。
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