猛暑が続く毎日、「夏バテ」と「目の不調」に注意を!
連日、厳しい暑さが続いています。患者さんとの会話の中でも「夏バテ気味で…」という言葉を耳にするようになりました。実際に夜間の暑さやクーラーによる部屋の冷え過ぎは、眠りの質を悪化させ、普段よりも機嫌が悪くなりやすいと自覚しています。「夏バテ」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか?そして、目にはどのような影響があるのでしょうか?
■ 夏バテの定義と体に起きる変化
「夏バテ」とは、夏の高温多湿や、室内外の温度差、睡眠不足、食欲不振などの影響によって、自律神経が乱れ、体の調子が崩れる状態を指します。医学的な正式病名ではありませんが、多くの方が経験する“夏特有の体調不良”です。
主な症状は以下のようなものです:
- 全身の倦怠感(だるさ)
- 食欲低下や胃腸の不調
- 寝苦しさによる睡眠の質の低下
- 頭痛、めまい、集中力の低下
- イライラや抑うつ感などの精神症状
これらの背景には、汗による水分・電解質の喪失や、冷房による寒暖差で自律神経が乱れることが関与しています。
■ 夏バテと「目」の関係
さて、夏バテは全身の不調として知られていますが、目の不調も意外と見落とされがちな「夏バテ症状の一部」です。以下のような症状が報告されています。
① ドライアイの悪化
冷房の効いた環境に長時間いることで空気が乾燥し、涙の蒸発が進みます。さらに、暑さによる脱水や水分摂取不足により、涙の分泌量そのものも低下します。結果として、目が乾く・ゴロゴロする・痛むといったドライアイ症状が悪化します。
② 目の疲れ(眼精疲労)
夏バテにより全身が疲れているときは、目の筋肉も疲れやすくなります。クーラーのきいた部屋でスマホやパソコンを見続けていると、ピント調節の筋肉(毛様体筋)が酷使され、目の奥の重だるさやぼやけ感が出やすくなります。
③ 視力の一時的な低下
体のだるさに加えて、睡眠不足や血行不良が重なると、網膜の働きも一時的に落ち、視力が不安定になることがあります。特に「夕方になると見づらい」と感じる方が増えます。
④ 目の充血やまぶたのむくみ
夏場は水分・塩分バランスが崩れがちです。その結果、まぶたがむくんだり、目が赤くなったりするケースも見られます。朝に起きた時にまぶたが腫れぼったいという方は要注意です。
■ 目の夏バテ対策
夏場の目の不調に対して、以下のような対策をお勧めします:
- こまめな水分補給(1日1.5~2Lを目安に)
- 冷房の風が直接目に当たらないように注意
- 目の周囲の温冷タオルによるリラックス
- 1時間に1回は画面から目を離して遠くを見る
- 人工涙液などの点眼で潤いを補う
- 十分な睡眠と栄養補給
特にドライアイの傾向がある方は、エアコンの設定温度や加湿、涙点プラグの使用など、眼科での対処法もご相談ください。
■ 眼科医清澤のコメント
夏バテは全身の問題として捉えられがちですが、「目」もその影響をしっかり受けています。ドライアイや眼精疲労が悪化すると、日常生活の質にも関わってきます。「なんとなく調子が出ないな」と感じたときには、目のケアも見直してみてください。私たち眼科医は、そうした不調にも寄り添う医療を提供したいと思っています。
【参考文献・出典】
- 日本眼科学会「ドライアイ診療ガイドライン(2020年改訂版)」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「夏バテとは」
コメント