JAMA にインフルエンザに関する記事が掲載されました。当医院にも職員用のインフルエンザワクチンが届けられ、その接種を始めました。皆様もインフルエンザワクチンの接種を早急にご検討ください。
「CDC Releases 2024–2025 Flu Report, With Suggestions for Upcoming Season」
(Samantha Anderer, JAMA, Oct 17, 2025)
2024–2025年シーズンは近年で最も重いインフルエンザ流行に
― CDC報告と次シーズンへの提言 ―
アメリカ疾病対策センター(CDC)は、2024〜2025年のインフルエンザ流行報告を発表しました。このシーズンは2017〜2018年以来もっとも重症度の高い流行とされ、医療現場への影響も大きかったことが分かりました。
◎流行の規模と被害
CDCの暫定推計によると、今季のインフルエンザは
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推定4,300万人が発症し、
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1,900万人が医療機関を受診、
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56万人が入院、
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3万8,000人が死亡
したと報告されています。
この数字は過去7年間で最悪レベルであり、再びインフルエンザが重大な公衆衛生課題であることを示しました。
◎流行したウイルスの型
検査された約400万件の呼吸器検体の解析では、主にインフルエンザA型が検出されました。
その中でも A(H1N1)pdm09 と A(H3N2) が優勢でした。
一方で、インフルエンザB型の活動は低調で、B/Yamagata系統は5年連続で検出されていません。このことは、近年B/Yamagata系統が自然消滅しつつあるとの見方を支持する結果とも言えます。
◎ワクチン接種の重要性
CDCは今回の報告を通じて、改めて次の3点を強調しています。
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毎年のワクチン接種が最も有効な予防策であること。
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発症後は早期の抗ウイルス薬治療が重症化を防ぐ鍵となること。
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全国的な感染サーベイランス体制の維持・強化が不可欠であること。
ワクチンは生後6か月以上のすべての人に推奨されています。
◎次シーズン(2025–2026)のワクチン構成
来季のインフルエンザワクチンはすべて三価(トリバレント)となります。
含まれる株は以下の3種類です。A(H1N1)pdm09・A(H3N2)・B/Victoria系統ウイルスこれにより、最も流行が予測される株に対する防御が期待されます。
◎清澤院長コメント
インフルエンザ流行の動向は眼科診療にも無関係ではありません。感染により涙嚢炎や結膜炎の発症リスクが増すことが知られています。また、ウイルス感染後の免疫反応による眼の炎症(ウイルス関連ぶどう膜炎など)も報告されています。
季節前のワクチン接種と、発熱・倦怠感がある時期の無理な受診を控えることが、患者さん自身と医療機関双方の安全を守ることにつながります。
出典:
Anderer S. CDC Releases 2024–2025 Flu Report, With Suggestions for Upcoming Season.
JAMA. Published online October 17, 2025. doi:10.1001/jama.2025.17513
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