全身病と眼

[No.814] 抗好中球細胞質抗体ANCA関連血管炎と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、旧名称Churg-Strauss症候群)の関連は?

抗好中球細胞質抗体ANCA関連血管炎と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、旧名称Churg-Strauss症候群)の関連は?を考えてみます。

直近の日本眼科学会雑誌に強膜病変を合併した抗好中球細胞質抗体関連血管炎12眼の検討を京都府立医大の奥村峻大らが投稿しています。それによると、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎は全身性の壊死性血管炎であり,高いANCA陽性率を特徴とし,難病に指定されているとされています。

この報告では、眼科を受診した抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎のうち強膜炎合併症例は92%でみられており、眼窩病変合併は17%,ぶどう膜炎合併は33%でみられていたということです。結論として、ANCA関連血管炎では強膜炎を高率で合併するが,特にぶどう膜炎を併発する症例では,視力低下に注意を要する(日眼会誌126697-7022022)という事でした。

さて、この報告を見て、以前私が、医科歯科大学の神経眼科外来にいたころ、チャーグシュトラウス症候群(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA))というものをしばしばリウマチ科から紹介されたことを思い出しました。そこで、抗好中球細胞質抗体関連血管炎と先のChurg-Strauss症候群の関連が気になったので調査してみました。結論としてChurg-Strauss症候群(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)は最多ではありませんが、抗好中球細胞質抗体関連血管炎(ANCA関連血管炎)の一部でした。

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ANCA関連血管炎には( (1) 顕微鏡的多発血管炎(MPA)(2) 多発血管炎性肉芽腫症(GPA)(3) 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA))が含まれます。

ANCAとは,抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody: ANCA)という抗体で,MPO-ANCAPR3-ANCA2種類があります。全身の諸臓器の小型血管に炎症を生じる疾患群で、顕微鏡的多発血管炎(MPA)(下記(1)),多発血管炎性肉芽腫症(GPA)(下記(2)),そして好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)(下記(3):その旧呼称がChurg-Strauss症候群です)の3疾患があります

血管炎:血管の炎症を証明するには,障害臓器の組織を採取して病理組織で血管炎を見つけることが重要です。しかし、必ずしも組織標本がえられない場合も多いです。治療は寛解導入療法として,強力に血管炎を抑え込みます。その後寛解維持療法として,なるべく少ない量の免疫抑制剤を継続して,再燃をしないように維持するそうでした。

(1)       顕微鏡的多発血管炎(MPAmicroscopic polyangiitis

概要:ANCA関連血管のなかで最も頻度が高いです。高齢者に比較的多く発症します。障害される臓器による症状が出現します。ほとんどがMPO-ANCAが血液検査で検出され、PR3-ANCAはまれです。

◎全身症状(発熱,倦怠感,体重減少。)、腎臓の障害(急速進行性糸球体腎炎)、肺の障害(間質性肺炎では息切れ)、皮膚の障害(両下肢に紫斑や潰瘍。):関節痛や筋痛が出現。神経の障害(末梢神経障害)、消化管の障害(腸管に潰瘍や出血)。その治療法:ステロイドを中心に,免疫抑制剤を併用します。免疫抑制剤はシクロホスファミド(エンドキサン®),リツキシマブ(リツキサン®)や,アザチオプリン(イムラン®)を併用します。

(2)       多発血管炎性肉芽腫症(GPA : granulomatosis with polyangiitis   (この旧名称は:Wegener肉芽腫症です)

◎概要:気道における肉芽腫性の炎症が特徴的で,中耳炎,副鼻腔炎,眼窩の炎症,気管支・肺の下気道の炎症,さらに腎炎を起こします。血液検査ではPR3-ANCAまたはMPO-ANCAが陽性。

◎眼窩の病変は:眼の痛み,眼球突出。

中耳炎,副鼻腔炎/肺病変:空洞性病変,結節性病変が特徴的。腎病変:急速進行性糸球体腎炎を起こす。その他:発熱,倦怠感,食思不振,体重減少が出やすい。

◎治療法は:基本的には,顕微鏡的多発血管炎(MPA)と同様の治療法。

(3) 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA

  (旧名称が:Churg-Strauss症候群,アレルギー性肉芽腫性血管炎です)

概要:非常に特徴的な経過をとる。気管支喘息またはアレルギー性鼻炎などのアレルギーを先行症状で発症し,その後に,両下肢や両手のしびれ・麻痺症状が出現。喘息からEGPA発症までの期間は3年以内が多いが,数カ月から数年,十数年のひともいる。特に難治性の喘息や,最近急に喘息の状態が悪くなるようなケースが多いです。好酸球性の副鼻腔炎,好酸球性肺炎を高率に合併。血液検査では,好酸球が著明に増加していることが特徴ですMPO-ANCAが陽性になるのは,50%未満と少なく,リウマチ因子の陽性率が高いです。下肢の紫斑を皮膚生検して好酸球浸潤を伴った血管炎を確認することが重要です。

【主要症状】気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎(/血液検査で,好酸球増加(/血管炎による症状:発熱,体重減少,多発単神経炎(下肢のしびれ・疼痛・麻痺),下肢の紫斑,肺症状(咳,痰,息切れ),副鼻腔症状(蓄膿),多発筋痛・筋力低下,消化管出血など(※ ①が先行し,が発症する。ということでした。

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