矯正視力が1.0有るからと言って万全の視覚を持っていると言える訳ではない。所先生に教えられた所を今日は復習してみよう。現代の眼科学改訂第5版(所敬、金井淳編集 平成5年)を参考にします。
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- 視力:
o 視力とは、目が画像の細部をどれだけ解像できるかを示す概念です。
o Visual acuityとは、2点を識別する眼の能力。目がかろうじて判別できる点が眼に対してなす角度を最小視角といい、最小視角の逆数で視力を著すと決められています。(角度は60分を一度としてあらわすときの分単位であらわします。)
o 日本の視力検査では、切れ目の入ったC字型のマーク(ランドルト環)を使って、どのくらい狭い切れ目まで見分けられるか調べます。直径7.5mm・切れ目の幅1.5mmのランドルト環を5m離れた場所から見たときに切れ目を判別できる視力が、「視力1.0」となります。
o 米国では、例えば、視力が20/20(日本では1.0)の場合、その人は通常の視力を持つ人が20フィートで見るものを20フィートで見ることができることを意味します。視力が20/40の場合、その人は通常の視力を持つ人が40フィートで見るものを20フィートでようやく見ることができるという意味です。
- 視力の種類:
1) 中心視力と中心外視力:中心視力は網膜の中心窩で見た視力。これ以外の網膜部分での視力が中心外視力です。
2) 遠方視力と近方視力;遠方視力は5m、近方視力は30cmで測ります。
3) 裸眼視力と矯正視力;屈折異常眼を眼鏡またはコンタクトレンズで完全に矯正した視力を矯正視力と呼ぶ。
4) 片眼視力と両眼視力:りょがん視力は一般に片眼視力に比べ10%程度良好である。潜伏眼振のある場合には片眼遮蔽をすると眼振が起き、視力は明らかに低下する。
5) 字一つ視力と字詰まり視力:視標文字は一つの物を次一つ視力(angular vision)、多数の指標が配列された指標で測る視力を字詰まり視力(cortical vision)と呼ぶ。小児などでは字一つ視力の方が良い。
6) 少数視力と分数視力:分子に検査距離、分母に検査に用いる視標を視力1.0の眼の人がかろうじて読める距離で表した視力を分数視力(Snellen方式)という。分数を少数に直すと少数視力と同じになる。
7) 対数視力:視力表の指標の段階を等間隔にするには少雨う視力の対数値を取らねばならない。
8) 対比視力;尻時に種々のコントラストの指標を並べた視力表を対比視力表という。コントラスト感度がわかる。
9) 縞視力とMTF(Moduration transfer function 空間周波数特性):縞の明暗を正弦波的に移行し、縞の間隔が暫時狭くなる縞模様で、かろうじて判別できた時の間隔から求めた視力を縞視力(fringe acuity)という。MTFは横軸に島の間隔を、縦軸に縞のコントラストを取り、縞として見える点を結んだもの。(図は豊橋工業大学https://www.tut.ac.jp/news/120821-1901.htmlから借用)
コントラスト感度の細かさ特性を示す絵。 縞模様の白黒の強さは横方向に一定だが 一つ山の輪郭(ピンクの点線)が感じられる。 これは視覚の特性である。
追記:今は亡き東京医科歯科大学の所敬教授は教室員に対して屈折と矯正をはじめとする視覚の基本に関する講義を時に応じて行ってくださった。視力1.0の意味も、私は医科歯科大学に助教授として赴任してから初めて伺ったことを思い出す。
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