老眼に対する眼鏡処方 (臼井千恵)読後印象記
清澤のコメント:今回の「わかりやすい臨床講座」は老眼に対する眼鏡処方です。多焦点の眼鏡レンズについて詳しく説明されており、眼科医は実際の処方をORTないし眼鏡技師に依存するにしても非常に有用な知識になっています。その要点を書き出すと、:老視に対する眼鏡には単焦点、二重焦点、遠近・中近・近々累進焦点レンズがある。処方に向けた検査は通常と変わらないが、装用練習に際しては、患者が眼鏡を使用する用途を細かく聞き取り、希望に沿うレンズタイプを選択・提案し、実際に満足する見え方が得られるか確かめる。特に、累進屈折力レンズには特有のレンズ特性が有るため、患者がその利点と限界を正しく理解・納得した上で、安全かつ適切に眼鏡を使用できるよう、医療側は、事前に丁寧な説明を行う必要がある。という事でした。
――――記事内容抜粋―――
始めに:50歳代で皆老眼対策用の眼鏡を必要になる。眼鏡の限界を理解させないと、合わない、疲れるなどの理由で眼鏡を活用できない。
Ⅰ、眼鏡の種類:累進は明視距離別に遠近(アイポイントは遠方で、遠方が広く、中間と近方は狭い)、中近両用(アイポイントは中間部、遠方は狭く中間と近方が同程度に広い)、近々アイポイント市は近方部で明視域は近方からやや離れた近方)。臨床での処方頻度は累進眼鏡を希望する患者が大多数を占め、単焦点眼鏡は限られた視距離での長時間の近業向け。
Ⅱ、眼鏡処方に向けた検査:
- 患者の眼鏡への希望を丁寧に聞き取る:本と新聞での距離は異なる。視力に応じて、眼鏡よりロービジョン用眼鏡の適応となる場合がある。比較のため自分の眼鏡を持参させる。
- 眼鏡処方に向けた各種検査:1)遠用所持眼鏡の度数と、その眼鏡での遠見視力測定。2)遠見瞳孔間距離を測り、同瞳孔距離の検眼枠を選ぶ。3)遠見での完全矯正度数測定。4)年齢に応じた付加度数を加えて、加入度数の下限を行う。(40歳+1.00D、45歳+1.50D、50歳+2.00D、55歳+50D、60歳+3.00D)。5)レンズのタイプを決め遠用度数決定。6)累進トライアルレンズを用いて装用練習。
- 近視眼の場合:1)老視初期、遠洋度数を1D程度低矯正に下単焦点眼鏡処方。2)乱視や不同視があり、両眼単一視が装用できない。度数の弱い方を遠用、他眼を近用にしたモノビジョン眼鏡。
Ⅲ、累進眼鏡の処方で留意・注意する事項
- 初めて遠近・中近眼鏡を処方する患者には装用練習で累進の特徴を理解させる。1)遠近トライアルレンズでの装用練習、1枚のレンズに遠近の度数が入っていることを実感させる。階段昇降を体験させる。2)中近トライアルレンズでの装用練習。レンズ最上部では遠方も見える事を実感させる。
- トライアルレンズと眼鏡作成時のレンズとの違いを認識する。処方箋に使用したトライアルレンズの情報を明記する。様々なレンズ設計を熟知した眼鏡店との連携が不可欠。
- 累進に適切なパッドのフレームを選ぶ。アイポイントがずれると見え方の不具合を生ず。パッド足の着いたフレームを選ぶ。
- 眼鏡の度数確認で留意すべき点、:装用感を聞き、レンズメータで度数確認。レンズ袋の記載を見る。
清澤の追記;アイポイントとは
アイポイント(EP=EYE POINT)は、メガネをかけた時にどの部分に瞳孔(瞳)の位置があるかを示します。遠近両用レンズの場合、遠くを見る度数と近くを見る度数があるため、アイポイントは重要です。アイポイントを確認する際には以下の項目を考慮します1:
- フィッティング(フレームの掛け具合): メガネのフレームが正しく位置しているかどうかを確認します。
- 左右の眼の位置・高さ: 眼の位置が均等であるかをチェックします。
- 累進帯長: 遠くから近くへの度数変化がどのくらいの距離で行われるかを考慮します。
- 累進レンズ使用暦: レンズを使い始めてからの期間も考慮します。
- 見る時の癖(視線移動): 視線の動きを考慮してアイポイントを決定します。
- 度数変更状況: レンズの度数変更があった場合、アイポイントを再確認します。
- フレームの形状: フレームの形状によってアイポイントが変わることがあります。
アイポイントを適切に設定することで、快適なメガネの着用体験を得ることができます。
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