これは前回に引き続く「成人視力検査眼鏡処方手引き」の第3章の大分短縮した要旨ですが、章立ては替えないようにしてあります。調節力の老視に伴う減退など大変詳しく記載されていて、慣れた眼科医でもそうだったかと思う記載が含まれていますから、眼科医が一度は原文に目を通して置くことをお勧めします。
3. 成人眼鏡処方に関する基本的検査
1) 用途の聞き取り
眼鏡処方の前に視力低下を引き起こす眼疾患の有無を確認する。遠方・近方のどの距離で明視したいか、日常生活での不便を把握し、ライフスタイルに合った眼鏡を処方する。また、装用時間や視線移動の必要性も考慮する。
2) 所持眼鏡の検査
所持眼鏡の視力と度数を測定し、使用状況や適合性を確認する。遠見・近見の視力を測定し、レンズの種類や状態を評価する。累進屈折力レンズの場合、適切なフィッティングがされているかを確認し、レンズの汚れや傷の影響も考慮する。
3) 屈折・調節検査
(1) 屈折検査
オートレフラクトメータによる他覚的屈折検査とレンズ交換法による自覚的屈折検査を行う。他覚的屈折検査では、測定環境や患者の状態に注意が必要。自覚的屈折検査では、球面度数の測定、円柱度数の調整、微調整を行い、最適な矯正度数を決定する。
(2) 近見時の自覚的屈折検査
近用眼鏡処方の際は、希望する明視距離に応じた加入屈折力を決定する。
(3) 調節検査
調節力は加齢とともに低下するため、遠点・近点の測定により評価する。調節障害が疑われる場合は追加検査を行う。
4) 瞳孔間距離測定
(1) メジャーによる測定
遠見・近見の測定方法を説明し、角膜反射を利用して測定する。
(2) 瞳孔間距離計による測定
専用の機器を用い、デジタル表示で正確な測定を行う。
5) 眼鏡処方箋の作成
眼鏡処方箋には、視力・屈折検査結果だけでなく、使用用途に沿った詳細な情報を記載する。必要項目として、患者情報、処方箋発行日、レンズ度数、瞳孔間距離、レンズ種類、有効期限、特記事項、医療機関情報を含む。公的補助を受ける場合は、日本眼科医会の指定様式を使用する。
本章では、成人の眼鏡処方に必要な検査と処方の流れについて詳細に解説している。
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