コンタクトレンズを日常的に使う方へ――安全に使うための大切な5つの心得
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コンタクトレンズは便利で快適な視力矯正手段ですが、その一方で「角膜」という極めて繊細な組織に直接触れる医療機器です。日常的に使用する方ほど、わずかな使い方の違いが目の健康に大きな影響を及ぼします。ここでは、当院の外来でも特にお伝えしている「重要度の高い5つの注意点」をまとめました。コンタクトを安全に使うための基本として、ぜひお役立てください。
第一に、充血や痛みが出たら必ず装用を中止し、受診することです。小さな異物感や軽い赤みでも、角膜に傷ができていたり、レンズが酸素を遮って角膜浮腫が生じている可能性があります。特に痛みが強い、涙が止まらない、霞んで見えるといった症状は緊急性が高く、無理にレンズを続けると角膜感染症や角膜潰瘍につながることがあります。「少し様子を見よう」は最も危険な判断です。
第二に、必ず定期検診を受けることです。コンタクト使用者の多くは、見た目に問題がなくても角膜表面に細かい傷や炎症が見つかることがあります。また、長期間の装用により角膜内皮細胞の減少や眼瞼のマイボーム腺機能低下が進行している場合もあります。特にハードレンズはフィッティングのわずかなズレでトラブルが起こるため、半年に1回、できれば3〜4か月に一度のチェックが安心です。
第三に、レンズの使用期限を守ることです。2週間タイプを1か月以上使い続ける、1日タイプを再使用する、ケア用品を交換せずに継ぎ足す、といった行動はトラブルの大きな原因です。レンズは時間とともに表面のコーティングが劣化し、細菌が付着しやすくなります。特に1日使い捨てレンズは「外したら必ず廃棄」が絶対条件です。戻して使うことは感染リスクを極端に高めます。
第四に、度数が合わなくなったら、そのままにせず調整することです。度が弱いまま無理に見ようとすると長時間の近業で疲れやすくなり、レンズがずれて乾燥感や痛みを引き起こすことがあります。特に若い方でも、スマートフォン中心の生活で近視が進むことは珍しくありません。見えにくさを感じたら早めに受診してください。
第五に、老眼の兆候を感じたら遠慮なく相談することです。コンタクトレンズ使用者は「手元が見にくいがレンズは変えたくない」と我慢しがちです。しかし、無理に近くを見ようとすると眼精疲労や頭痛を招き、かえってコンタクトの快適さが損なわれます。手元用補助眼鏡の併用や遠近両用レンズなど、選択肢は多数ありますので、適切な方針を一緒に考えていきましょう。
そのほかにも、レンズのこすり洗い、保存ケースの毎日の乾燥、入浴・プールでの装用禁止、寝る前の必ず外す習慣など、細かな注意点は多くあります。しかし、上記5点を確実に守るだけでも、コンタクト関連トラブルの多くは予防できます。
当院では、コンタクトレンズを「安全に」「長く」「快適に」使っていただくことを最も大切にしています。少しでも気になる症状があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。



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