コンタクトレンズ・眼鏡処方

[No.928] 眼科医に「メガネをかけている人」が多いのはなぜ?

眼科医に「メガネをかけている人」が多いのはなぜ?

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眼科医に「メガネをかけている人」が多いのはなぜ?コンタクトやレーシックにしない事情とは【眼科専門医平松 類先生が解説】という記事がネット(https://gentosha-go.com/articles/-/45447?per_page=1)に出ています。平松 類先生は緑内障に関する御著書も多く、連日のようにユーチューブでも眼科情報を発信しておられます。今日は彼の2022.9.13 の記事を参考に、眼科医になぜ眼鏡をかけている人が多いのかを私も再考してみます。私は、手術までして軽い屈折異常を直すメリットが少ないという理由と、少ないにしても合併症を見ることがあるからという理由に同意します。

眼科医はメガネ人口が多い?

眼科医はメガネをかけている。そんなイメージがある人は多いのではないか?

本当にメガネが多いかどうかという統計はないが、一般社会と比較して眼科医はメガネをしている人が多い。コンタクト・レーシック・ICLなど視力回復の方法があって、他人にその手術をしている眼科医たち自身がメガネをしているというのはどういうことか? そこにはいくつかの理由があります

コンタクトよりメガネの眼科医が多いと感じる理由は?

◎高学歴ほど近視になる傾向がある

医者は一般社会よりも近視が多いということが挙げられる。一般的に学歴が上がるほど近視の傾向が高い。医学部を卒業しているという時点で大卒であり、近視の確率が高い。ですから一般社会と比較すると近視が多く、結果としてメガネをかけざるを得ない人が多いということがある。

では、コンタクトよりメガネ派な眼科医が多いのはなぜなのか?コンタクトレンズとメガネには、以下のようなメリットとデメリットがある。

【コンタクトのメリット】

見た目からは矯正しているのがわからない

目に直接つけるので視野が広い

【コンタクトのデメリット】

目が乾く

感染症・アレルギーのリスクがある

【メガネのメリット】

つけ外しが可能

目が乾きにくい

【メガネのデメリット】

見た目からして矯正しているのが明確

視野がやや狭く感じることがある

◎眼科医はメガネが多い!感じるのには、「患者側の先入観」もある

患者側は、眼科医なのにメガネをしている、ということに違和感を覚える。眼科医がメガネをかけていると、目立ってしまうということもあります。

でも、眼科医はなぜ便利なコンタクトでなくメガネをしているのか?

 

コンタクトにしない理由①:感染症を予防するため

眼科医がコンタクトレンズをしない理由として、「目の感染症の現場にいるから」というのが挙げられます。特に代表的なのは流行性角結膜炎。 ウイルスは、目やにや涙にふくまれ。その目に触った部分でどこかに触ると移る。アルコール消毒だけでは防ぎきれない。つい目を触りがちな医師はコンタクトを避ける。

 

コンタクトにしない理由②:眼科の仕事は目が疲れやすい&乾きやすいから

眼科の診療というのはかなり細かい作業を要するため、眼精疲労が起きやすい。細かい作業だと目を集中して使うことになるが、集中して目を使うと目は乾燥する。集中して見るときはまばたきの回数が減り、目が乾くコンタクトは難しい。

コンタクトをしている眼科医は結構いるが、ICLやレーシックなどの屈折矯正手術を受けている医師よりは多いです。なぜ眼科医はレーシックやICLをしないのか?

メガネの眼科医はなぜレーシックやICLをしないのか?

もちろん眼科医の中にも、レーシックやICLを受けている人はいます。

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【屈折矯正手術のメリット】

メガネやコンタクトなど矯正器具がいらない

【屈折矯正手術のデメリット】

短期・長期合併症のリスク(ドライアイなど)

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◎屈折矯正手術をしない理由①:人によってはメリットが少ないから

屈折矯正手術の最大のメリットは、メガネやコンタクトレンズなどの屈折矯正器具がいらなくなるということです。しかし子供のころからメガネに慣れているしその取扱いも詳しく知っているので、あまりメガネを煩わしく感じていないということもあります。結果として、手術をしてメガネやコンタクトがいらなくなることのメリットはそれほど大きくない。

また眼科医と言っても最初は忙しい。やっと多少の時間が取れるようになってきても、そのころには老眼が始まってくる。屈折矯正手術をして近視を治しても手元を見るには老眼鏡が必要になる。屈折矯正手術をやるメリットが非常に少ないのです。

◎屈折矯正手術をしない理由:②悪い例を見ているから

屈折矯正手術を主にしているクリニックの場合は成功例をたくさん見ます。「先生ありがとう」と声をかけられて嬉しくなるので、さらに手術をすすめたくなるでしょう。けれども屈折矯正手術をしていない眼科医にとっては、屈折矯正手術後の患者さんは特に問題なければ受診しません。受診する場合は何らかの問題が生じているからです。感染症が起こっている、網膜剥離になっているなど、そういうネガティブな例をわずかでも見てしまうと、やはり二の足を踏んでしまうということがあります。

 

また、長期的には何か起こる可能性があるというのも知っている。

結局、どの視力矯正手段を選ぶかは人次第

以上の理由から、少なくとも私はコンタクトよりメガネ、レーシックやICLよりメガネという選択をしています。逆に言えばメガネがとてもつらい人や、コンタクトにしたいが不得意でつけられない人、そして若い人であれば、折矯正手術のメリットが増えるので折矯正手術をやる理由が出てきます。ネガティブな例に関しても確率の問題なので、それをどうとらえるかということになる。

つまり眼科医がメガネをしているというように感じるのは、眼科医という職業の関係上メリットとデメリットを比較してメガネにメリットを感じる人が多いから、というだけであり、メガネが単純に優れているというわけではなく、それぞれよい点と悪い点があるということです。

 平松 類:二本松眼科病院 副院長

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