清澤のコメント:バレンタインデー以後ちまたでは花粉症が増えており、当医院にも治療を求める患者さんが増えています。コンタクトレンズユーザーへの有用な助言をのべた杏林大学重安先生の記事を抜粋して紹介いたします。元記事はヨミドクターです。ちなみに花粉症を英語ではHay feverと言います。
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花粉症 コンタクトレンズをしている人の対策は…レンズを変えると症状を軽くできることも
花粉に悩まされる季節となりました。この時期は、コンタクトレンズをしている人にとって、目のトラブルが生じやすくなるといいます。対処法について、杏林大眼科非常勤講師の重安千花さんに聞きました。(聞き手・利根川昌紀)
アレルギー性結膜炎とは
Q:花粉が多く飛散する時期に、生じる目のトラブルについて教えてください。 ――コンタクトレンズをしていると、レンズの表面に花粉がつき、目の中にとどまります。その結果、花粉が付着したレンズが、特にまぶたの裏の結膜とこすれ、「アレルギー性結膜炎」を起こします。 症状は、目にかゆみが生じる、充血する、目やにが出る――などです。 冬から春にかけての時期は空気が乾燥していて、目が乾きやすい状態です。花粉を流してくれる涙の量が減ると、症状が悪化しやすくなります。
読売新聞社
Q:アレルギー性結膜炎はなぜ、起こるのですか。 ――体内に入った花粉は、異物と捉えられます。コンタクトレンズの表面についた花粉が結膜に触れると、それを排除しようとアレルギー反応が起き、かゆみなどの症状が出ます。コンタクトレンズをしていない人でも、目の表面に花粉がつくことはあります。しかし、コンタクトレンズをつけている場合の方が、花粉は目にとどまりやすく、アレルギー性結膜炎を起こす可能性は高いと言えます。
コンタクトレンズは外さないとダメ?
Q:治療法はありますか。 ――抗アレルギー成分が入った点眼薬を使用します。症状が重い場合は、ステロイド点眼薬を投与します。ただし、ステロイドを使うと眼圧が上昇する恐れがあります。そのため、ステロイド点眼薬を使用中は、症状がなくても2週間程度の頻度で眼科を受診し、目の検査を受ける必要があります。
Q:治療が必要になった場合、コンタクトレンズはつけたままでも大丈夫ですか。 ――外して眼鏡をかけるのが望ましいです。しかし、実際には、コンタクトレンズを使い続けている人は多いと思います。 Q:対処法はありますか。 ――コンタクトレンズをつけている、つけていないにかかわらず、抗アレルギー成分が入った点眼薬を使用します。通常、点眼薬はコンタクトレンズを外してさします。ただし、コンタクトレンズをつけたままで使えるものもあります。眼科医に相談するとよいでしょう。
Q:コンタクトレンズのケアも大切ですね。 ――花粉が体内に入ってアレルギー反応が起きると、涙の中に様々な炎症物質が増えます。その結果、コンタクトレンズにたんぱく質の汚れがつきやすくなります。2週間など、一定期間使って交換するタイプのコンタクトレンズを使っている人は、レンズの洗浄を、いつも以上に念入りに行うよう心がけてほしいです。 「マルチパーパスソリューション(MPS)」と呼ばれる薬剤で、レンズの表裏をそれぞれ20回以上、しっかりこすり洗いし、5秒間すすぎます。花粉などの付着物や汚れを、レンズから取り除くことが重要です。汚れがひどい場合は、より消毒効果が高い「過酸化水素製剤」や「ポビドンヨード製剤」を使います。
抗アレルギー薬配合のコンタクトレンズも登場
装用したコンタクトレンズから目の表面に薬剤が広がる(画像は、ジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケア カンパニー提供:下に清澤追記あり)
Q:アレルギー性結膜炎を起こしにくいタイプのコンタクトレンズはありますか。 ――1日使い捨てタイプを使えば、アレルギー性結膜炎は起こしにくくなります。中でも、シリコーンハイドロゲルという素材を使ったレンズは、たんぱく質の汚れがつきにくいと言われています。花粉対策の一つになるでしょう。 Q:抗アレルギー薬が配合されたコンタクトレンズもあると聞きました。 ――2022年1月に全国で発売された新しいタイプのものです。「ケトチフェン」と呼ばれる抗アレルギー薬がレンズに含まれています。 この薬剤には、アレルギー症状を起こす「ヒスタミン」という物質が、細胞から出るのを抑える働きなどがあります。アレルギー症状が出る前から装用すると、その後の症状を和らげる効果が期待できます。
Q:花粉症対策の選択肢が広がったと言えますか。 ――選択肢は広がりましたが、このコンタクトレンズでアレルギー性結膜炎を治療できるわけではありません。 いずれのコンタクトレンズであっても、装用し続けることで危険が生じる場合もあります。花粉症でコンタクトレンズを使用している人は、定期的に眼科を受診していただき、目の状態をチェックしてほしいと思います。
追記;コンタクトレンズをつけたままでも使用できる抗アレルギー薬点眼薬として、以下の商品が日本で販売されています。
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アレジオン(日本新薬)- 有効成分はフェキソフェナジン塩酸塩で、アレルギー性鼻炎や結膜炎などのアレルギー症状に効果があります。
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ザイザルアイ(第一三共ヘルスケア)- 有効成分はレボセチリジン塩酸塩で、アレルギー性鼻炎や結膜炎などのアレルギー症状に効果があります。
これらの点眼薬は、レンズをつけたままでも使用できることが明記されていますが、使用前には必ず医師や薬剤師に相談することをおすすめします。また、レンズによる目の乾燥や刺激によって、点眼薬の効果が低下することがあるため、適切な使い方をすることが重要です。
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