発達障害の子どもが増加
- 学校で発達障害の可能性を疑われる子どもが増えている。小・中学生の8.8%が該当するという調査結果がある。
- 発達障害者支援法の施行や医学的な診断の広がりにより、発達障害に対する認知が高まったことが背景にある。
- 発達障害は自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症などさまざまな症状を含む。自閉スペクトラム症は世界的にも増加傾向にある。
児童精神科の受診難
- 発達障害の診断や支援を受けるためには、児童精神科での受診が必要だが、初診まで数カ月待ちという状況が多い。
- 保護者は評判のいい病院で診てもらいたいと考えるが、児童精神科の窓口自体が少ないという問題がある。
- 児童精神科では、親の不安を整理したり、正常と診断することの難しさを説明したりすることも必要になる。
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発達障害は、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害など、通常低年齢で発現する脳機能の障害を指します。これらのタイプのうちどれにあたるのか、障害の種類を明確に分けて診断することは大変難しいとされています。また、年齢や環境により目立つ症状が異なるため、診断された時期により、診断名が異なることもあります。
発達障害の治療は、対人関係能力や社会性を身に付ける「心理社会的アプローチ」と、症状の改善を目的に行う「薬物療法」があります。心理社会的アプローチでは、ソーシャルスキルトレーニング(SST:社会生活訓練)やペアレント・トレーニング(PT)などが行われます。SSTでは自らの特性を知り社会生活に適応するためのスキルを学びます。PTでは保護者が障害のある子どもとの関わり方や、子育ての工夫の仕方を学ぶプログラムです。
薬物療法では、ADHD(注意欠如・多動性障害)の治療薬が用いられます。現在、ADHDに対して処方される主な治療薬はコンサータ(一般名:メチルフェニデート塩酸塩)、ストラテラ(一般名:アトモキセチン塩酸塩)、インチュニブ(一般名:グアンファシ)、ビバンセ(一般名:リスデキサンフェタミン塩酸塩)という4種類があります。
これらの治療法は個々の患者さんに合わせて選択され、その人がどんなことができて、何が苦手なのか、どんな魅力があるのかといった「その人」に目を向けることが重要です。そして、その人その人に合った支援があれば、だれもが自分らしく生きていけると考えられています。
注:当医院(自由が丘清澤眼科)でも神経心理士を用意して神経心理外来を月に一度ですが開設しており、週に4人ほどがカウンセリングを受けることができます。ビジュアルスノウなどに関連して診察することは有りますが、清澤が発達障害の専門家という事ではありません。
清澤の追加脚注:主要な病名の解説
- 自閉症:自閉症は、他者との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする発達の障害です。
- アスペルガー症候群:アスペルガー症候群は、自閉症にみられる特徴(社会性発達の質的障害、興味や活動の偏りなど)を共通の類似点として持っています。自閉症では知的障害や言語発達に遅れを伴うことがありますが、アスペルガー症候群ではそれらはありません。知的レベルが正常であり、言葉の発達に遅れはないことなどから、一見すると「ちょっと変わった人」程度に認識されることもあります。
- 学習障害:学習障害とは、全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態を指します。その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されますが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではありません。
診断では認知的、教育的、言語的、内科的、心理学的評価が行われます。治療は主に教育的管理であり、ときに内科的治療、行動療法、および精神療法も行われます。
- 注意欠陥多動性障害(ADHD):ADHDは、発達水準からみて不相応に注意を持続させることが困難であったり、順序立てて行動することが苦手であったり、落ち着きがない、待てない、行動の抑制が困難であるなどといった特徴が持続的に認められ、そのために日常生活に困難が起こっている状態です。
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