小児の眼科疾患

[No.220] 眼振とめまい、眼球振盪症と類似の眼球振動;講演の抄録

その抄録が掲載された雑誌の表紙と記事です。再録です

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眼振とめまい-眼球振盪症と類似の眼球振動
清澤眼科医院 院長、東京医科歯科大学臨床教授
清澤源弘
先天眼振は、生後2〜3ヶ月で発症し、目が水平にゆれる。ビデオの症例は「揺れては感じない」と明言している 。つまり眼振だが「めまい」を訴えない。今日の講演では「めまい研究会」だがめまいのない眼振からお話しする。眼振の定義は律動的で不随意性の行き帰りする眼球の振動である。眼振に関する専門用語があり、各眼振はその用語で表現される。先天眼振は視力不良が原因の求心性眼振と、眼運動障害が原因の遠心性眼振に分けられる。すべての眼振は1)生理的眼振、2)特異的で明確な眼局所に限局する眼振、3)非特異的、非局在性の注視誘発眼振、4)関連眼振動に分けられる。

1)「生理的眼振」には終末位眼振、視運動性眼振、温度刺激眼振、回旋性眼振が含まれる。
2) 「特異的で明確な眼局所に限局する眼振」の代表的なものが先天性眼振である。当医院へは10歳までの受診が多く、男性が多かった。視力は0.3未満 8%、0.3~0.7未満35%、0.7以上58%であった。患者は視力に依って視力、両眼視、整容など求めるものが、異なっていた。先天眼振にはDaroffが述べたように(1)両眼性で共同性75%、(2)両眼とも同じ振幅72%、(3)振動視はない62%、(4)睡眠中は消失24%、(5)頭の振動を伴う34%、(6)軸輳により減弱55%。(7)固視努力により増強55%。(8)潜伏眼振に重畳することがある43%、(当医院患者での計数結果)などを特徴とする。先天眼振を疑う時に併せて行っておくべき検査には、(1)MRI、(2)耳鼻科検査とENG、(3)院内での神経内科的評価とMRI読影、(4)球面、乱視、プリズムの眼鏡処方、(5)症例によりガバペン処方、(6)希望なら手術への紹介などがある。

このほかに「特異的で明確な眼局所に限局する眼振」には、潜伏眼振、点頭痙攣、解離性眼振、下向性眼振、上向性眼振、シーソー眼振、輻輳後退性眼振、周期性交代性眼振、前庭性眼振、随意眼振が含まれている。

3) 「非特異的、非局在性の注視誘発眼振」は第一眼位では見られない眼振で、抗痙攣剤またはトランキライザーの薬剤によるものと、後頭蓋窩疾患が大切である。

4) 「関連眼振動」では小脳系疾患に関連したものが重要で(1)スクエア・ウェーブ・ジャークス。(2)眼ディスメトリア、(3)眼球粗動、(4)オプソクロヌス、(5)水平注視誘発眼振と反復眼振を提示した。

5) 最後に上斜筋ミオキミアを加えた。「片眼の景色が傾いてゆき、しばらく揺れて見えた後元に戻る」という発作を繰り返す。細隙灯で角膜輪部を見るとその単眼性の動きが確認できる。眼科では見られる疾患であるが診断がついていないことも多い。

先天眼振集計にご協力いただいた当院職員と赤井久美子先生とに感謝します。

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