清澤のコメント:イスラエルとイランの間で戦争が起きていますが、イランがホルムズ海峡を封鎖したら日本への石油供給が断たれるというシナリオは日本の存立を左右する大問題です。そこを論じたユーチューブ動画を見ました。此の論者はホルムズ海峡の封鎖はイランが敵を増やすことになるので考えにくいと論じています。
原油価格が揺れる理由と中東リスクの影響
近年の原油価格の乱高下は、戦争リスクや政治的な発言によって大きく動いています。特に注目されているのが、イスラエルとイランの対立、そしてそれに対するアメリカの関与です。この動画では、原油価格に影響を与えている要因を、経済と地政学の両面から解説しています。
原油価格はなぜ上がる?
6月中旬、原油価格は一時的に下落予想が広がっていましたが、トランプ氏の「全面降伏すべき」との発言やイスラエルの空爆の報道を受け、一転して反発。市場関係者がポジションを買い戻したことで価格が上昇しました。投機筋は現物を持たず、まず「買い」から入るため、こうした動きに敏感に反応するのです。
WTIとブレント、どちらを見るべき?
WTI(米国産原油)はアメリカの経済を反映する指標。一方、ブレント原油(北海産)は国際輸出に使われるため、中東リスクの影響をより敏感に受けます。中東の状況を考える際には、ブレント価格を参考にすべきです。
ホルムズ海峡の封鎖リスク
原油輸送の重要な通路であるホルムズ海峡が完全に封鎖される可能性は低いと見られています。なぜなら、イランだけでなくサウジアラビアやUAEなど他の中東産油国もここを通っているため、封鎖は敵を増やすことになるからです。ただし、ミサイルの飛来や保険料の高騰といった“実質的封鎖”が起きると、価格高騰や供給遅延が現実味を帯びます。
日本への影響とガソリン価格
原油価格が上昇すると、日本のガソリン価格もおよそ3週間遅れて上昇します。今後1〜2ヶ月で市民生活にも影響が出る可能性があります。補助金や税の軽減措置が取られても、限界があり、価格上昇が長引けば生活コストが確実に上がることになります。
エネルギー安全保障と日本の課題
日本は現在、原油の約9割を中東に依存しています。しかし、中東原油に特化した精製設備を使っているため、単純に他地域に切り替えることは困難です。今後は調達先の分散や再生可能エネルギーの活用、原子力・石炭の見直しなど、多様な手段を用いた「エネルギーミックス」の再構築が必要です。
さらに、少子化と経済構造の変化を踏まえ、将来どれだけのエネルギーが本当に必要なのかを見直すことも重要です。
まとめ
原油価格は地政学的リスクに大きく左右されます。特に日本のようにエネルギーの多くを輸入に依存している国では、中東の情勢変化がすぐに家計に響きます。今回の議論を通じて、価格の動きだけでなく、私たちのエネルギーのあり方そのものを考え直す契機とすることが大切です。
(参考:PIVOT「原油価格と中東リスク」2024年6月18日収録)
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