社会・経済

[No.3763] 「なぜ参政党は支持を広げたのか?」— 新しい保守勢力の浮上と日本の有権者心理: 社会経済

◎ 今回の参議院選挙では国民の意識に大きな変化があったように感じられました。これを開設するピボット動画の番組を見ましたその要点をまとめてみました。

「なぜ参政党は支持を広げたのか?」— 新しい保守勢力の浮上と日本の有権者心理

2025年夏に行われた参議院選挙では、保守系でポピュリズム色の強い新興政党、特に「参政党」の躍進が注目されました。結果として14議席を獲得し、既存の保守勢力である自民党の支持層の一部を切り崩した形となりました。

なぜ、いまこのような新しい保守政党が注目を集め、特に現役世代を中心に支持を拡大したのでしょうか?今回は、政治学者・吉田徹教授の分析をもとに、主な背景を整理します。


■ ポピュリズムと新保守の共通点

欧米で見られる「右派ポピュリズム政党」には2つの特徴があります:

  1. 経済政策では保護主義や市場介入志向

  2. 文化・社会政策では、家族・地域・国家など共同体重視

参政党もこの特徴を備えており、「日本人ファースト」などのスローガンで、生活が苦しい人々や将来に不安を抱える層の共感を得ました。


■ 参政党支持の背景:3つの大きな要因

吉田教授は、今回の参政党の躍進を次の3点から説明しています。

1. 現役世代の経済的困窮

40〜50代の現役層を中心に、「賃金は上がらず生活が苦しい」という不満が高まっていました。参政党はこれに対して「誰が悪いのか」を明快に示す構図(例:グローバル化や外国人優遇)を提示し、心理的に「納得感」を与えました。

2. 自民党の中道化と保守層の受け皿

安倍政権時代に比べ、自民党が中道寄りの政策へと転じたことで、より強硬な保守志向を持つ“岩盤保守層”が離脱。その受け皿となったのが参政党や日本保守党でした。特に参政党は「右の右」の空白地帯を意識的に狙ったとみられています。

3. 無党派層の動員と運動体としての魅力

「なんとなく今の政党には共感できない」という無党派層が、SNSや街頭演説などで話題となった参政党に“勢い”を感じて票を投じました。さらに、参政党は全国的な支部展開、地方議員の組織力、党員制度を活用し、政治参加を「楽しめる場」にした点も特徴的です。


■ 「外国人問題」の多層的な受け止められ方

参政党が前面に掲げた「日本人ファースト」という主張は、外国人観光客によるオーバーツーリズム、外国人労働者との競合、中国資本への警戒など、有権者の様々な不満を“ひとまとめ”に吸収しました。

特定の外国人を敵視するというよりも、それぞれの「生活の不安」や「日本のあり方」への懸念に訴えたメッセージだったとも言えます。


■ 他政党への影響と今後の見通し

こうした主張が世論の一定の支持を得たことで、今後、他の政党(特に自民党)が参政党の主張を“取り込む”動きが予想されます。すでに一部では、外国人政策や国民優先の言説が与野党双方から語られるようになっています。

一方、参政党はもともと「反ワクチン」や「オーガニック志向」から出発し、時流に応じて主張を柔軟に変えてきた経緯があります。これは選挙戦略的には有効ですが、今後も路線の「変動性」が注視されるポイントとなるでしょう。


■ 結語:政治不信と生活不安のはざまで

参政党の台頭は、単に保守化の進行というだけでなく、「今のままでは暮らしていけない」という切実な不安の表れでもあります。

眼科という地域医療の現場でも、「若い人の困窮感」や「年金生活者の不安」が患者さんとの会話でしばしば聞かれます。今回の参院選は、政治に無関心だった人々が何かを変えようと一歩を踏み出した“入口”だったのかもしれません。


参考動画:ピボット「なぜ今新たな保守政党が支持されるのか」吉田徹教授出演

https://youtu.be/GmT3RiCUZcY?si=B3k9JpAMtx6-crnn

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