社会・経済

[No.3849] 眼科院長が考える、AI時代における「人とAIの役割分担」

眼科院長が考える、AI時代における「人とAIの役割分担」

こんにちは、自由が丘清澤眼科の清澤源弘です。AIの進化が止まらず、「いつか医師の仕事も奪われる…?」と心配になる方も多いかもしれません。そこで今回は、最新の話題である「GPT‑5」に関するJBpressの記事(2025年8月18日)をもとに、「AIにはできても人ならではの価値」について、眼科の現場から考えてみたいと思います。


1. GPT-5が示す“高度知的職業の限界”

これまで「AIに代わるのは単純作業だけ」と考えられてきましたが、GPT‑5の登場によってその常識は覆されつつあります。最新のAIは、高学歴・高報酬の専門職、たとえば弁護士、会計士、コンサルタント、研究者、クリエイターなどの領域にまで踏み込んできています X (formerly Twitter)+9JBpress(日本ビジネスプレス)+9JBpress(日本ビジネスプレス)+9

資料の中で特に目を引くのは、「創造性の神話」が崩れ始めたという指摘です。広告のキャッチコピー、映画の脚本、音楽、デザインなど、従来「人間にしかできない」とされてきた創造的な作業でも、GPT‑5は新しい組み合わせや意外性を含んだアイデアを、大量かつ高速に提案できます。たとえば数時間かけて案を考えるところを、GPT‑5なら数十秒で数百案を出し、さらに消費者データに基づいて最適なフレーズを自動で順位付けすることすら可能です JBpress(日本ビジネスプレス)


2. それでも“人にしかできない現場の力”とは?

では、どこに人間の存在価値が残されるのか――後編記事では、その答えとして「現場力」に注目しています。具体的には、身体的な動きが伴う作業や、相手の感情への共感、それぞれの状況に応じた判断力など、人間らしい対応力こそAIには代替できない、と強調されています JBpress(日本ビジネスプレス)

たとえば介護や看護、建設、そして医療の一部といった、目の前の状況に柔軟に対応し、患者さんの気持ちを汲み取りながら治療やケアを行う職場は、AIには再現できません。GPT‑5は文章やデータ処理、思考パターンの再現には優れていますが、人の“心”や“場”の空気、微妙な変化への即時対応は苦手なのです JBpress(日本ビジネスプレス)


3. 眼科医としてのAIとの付き合い方

それでは眼科診療の現場では、どのようにAIと向き合えば良いのでしょうか?

● AIは“頼もしい助手”として使う

視力検査の結果や画像データの分析、問診内容の整理など、AIの得意分野はたくさんあります。そうした補助的な役割としてAIを活用し、そこから得られた結果をもとに「なぜこう判断したのか」「どう説明するか」を医師自身が説明できる状態にしておくことが重要です。

● “共感と寄り添い”こそ競争力になる

AIにはできない、患者さん一人ひとりの不安や生活背景に寄り添う力こそ、私たち医師の最大の強みです。「あなたの暮らしに合わせた治療計画」「目の症状と生活の関係まで考えてくれる」――こういった“人間らしさ”が、AI時代においても患者さんから信頼される眼科医の条件です。

● 現場での判断力を磨き続ける

AIはデータに基づいて判断できますが、その結果をどう応用して最適な検査や治療、対応につなげるかは人間の判断にかかっています。たとえば、わずかな視線の動きや表情の変化から普段と違う訴えを察する力、あるいは高齢の方の生活状況まで見越して治療スケジュールを組む力――こうした現場力を日々の診療で意識して磨いていきたいですね。


4. 未来は“AIと共に創る”もの

結論として、AIの進化は医療において止められません。それをどう受け入れ、どう使いこなし、自分たちの“人としての強み”とどう共存させるかが鍵です。視力データの解析や診断提示などAIに任せられる部分は任せつつも、私たちは「人間の温かさ」と「一人ひとりに合わせたケア」で差をつけていく。その覚悟と実践こそが、新しい時代の眼科医に求められる姿だと感じています。


出典:

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