バルト海で起きた新たな緊張――NATOとロシアの直接対峙
今回は少し国際情勢のお話です。患者さんや地域の方にも分かりやすいように整理してみました。題材は、YouTube番組「青山繁晴チャンネル・ぼくらの国会」第1043回(ニュースの尻尾・テーマ「バルト海を発端に核大戦?!」、2025年9月24日収録)で紹介された、バルト海周辺での軍事的事件についてです。
1)発端はポーランドへのドローン侵入
9月上旬、ロシア(あるいはベラルーシ製とされる)軍用ドローンがポーランド領空に最大23機も侵入しました。NATO側はオランダ空軍の最新鋭戦闘機F-35を発進させ迎撃。撃墜に成功しましたが、これは「NATO軍とロシア軍が同じ空で直接交戦した」と見なされる重大な一歩でした。今回のドローンは爆弾を積んでいなかったとされ、攻撃目的よりもNATOの対応や指揮系統を探る意図が強かったと考えられています。
2)9日後にロシア戦闘機が出現
その9日後、ロシア空軍のMiG-31が3機編隊でバルト海上空を南下。NATO各国の戦闘機が緊急発進して迎え撃ち、警告射撃を受けたロシア機は反転して戻ったとされます。小規模とはいえ、核戦力を含むカリーニングラード飛び地を抱えるこの地域での緊張は、偶発的な衝突が全面戦争へ発展するリスクを常に孕んでいます。
3)バルト海の軍事的重要性
バルト海は浅く狭い内海で、周囲にはNATO加盟国であるバルト三国やポーランドが並びます。その中にロシアの飛び地「カリーニングラード」があり、ここはロシアのバルチック艦隊の拠点であり、戦術核の存在も疑われています。地政学的にきわめて敏感な場所で、NATOとロシアの境界線が物理的に近接しているのです。
4)核の影が差す理由
ウクライナ戦争でロシア軍は苦戦を続けており、従来型兵力だけでは戦況を打開できない現実があります。そのため、ロシアは核の使用可能性を繰り返し示唆し、実際に演習を行ってきました。核の脅しが現実味を帯びてきている点が、今回の事件をより深刻にしています。
5)国連総会直前のタイミング
これらの動きは、各国首脳が集まる国連総会直前に行われました。国際社会への挑戦状とも受け取れるこのタイミングは、ロシアが「新しい国際秩序づくり」を意識しているサインとも解釈できます。NATO諸国がどのように動くかを試す“実験”の意味合いが強いのです。
6)私たちが学ぶべきこと
今回の出来事は、直ちに世界大戦に直結するものではありません。しかし、双方が相手の「限界」を探るチキンレースに入っていることは確かです。こうした国際的な緊張は、エネルギー価格や物流、医療供給体制にも影響しうるため、遠い国の話ではありません。
院長としてのコメント
医療の現場と同じように、国際情勢も「最新の正確な情報に基づく冷静な判断」が大切です。恐怖を煽る噂に流されず、信頼できる一次情報を追いかける姿勢が必要です。バルト海の出来事は、危機管理とは準備と冷静さで支えるものだという普遍の教訓を私たちに改めて教えてくれています。
(参考:YouTube「青山繁晴チャンネル・ぼくらの国会」第1043回「バルト海を発端に核大戦?!」、2025年9月24日収録)
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