一番お金のかかる「趣味」は貯金だった
(清澤もこの意見に賛成です)
精神科医の和田秀樹先生は、「世の中で一番お金のかかる趣味はギャンブルでも旅行でも美術品収集でもない」と語ります。その正体は「貯金」です。貯金が趣味になると、稼いだお金を使うことよりも預金通帳の数字を増やすことだけが生きがいになり、1万円のワインすらもったいなく感じるようになる。つまり、お金を持っていても幸せになれないのです。
和田先生によれば、お金は「何かを買いたい」「何かをやりたい」という目的のために稼ぐもの。手に入れたら使わないと、自分にも社会にも役立たない。お金は「使ってナンボ」であり、貯めること自体を人生の目標にするのは誤りだと言います。
「金は天下の回りもの」という格言のとおり、使われてこそ経済が循環します。もしお金持ちが使わないなら、国が財産を管理して分け与える社会主義の方がまだマシだ、とまで述べています。資本主義社会が発展するには、お金を持っている人が使うことが不可欠。使わない金持ちは、従業員の給料を上げず、社会にお金を回さないことで、資本主義を自ら壊していると和田先生は指摘します。
その背景には日本企業の「内部留保」の問題があります。財務省の統計では、2023年度の企業内部留保は過去最高の約601兆円。もし内部留保に2割の税をかければ100兆円以上を得られ、国家予算もまかなえる計算になります。和田先生は、相続税を100%にすることや企業の内部留保への課税強化を提案し、社会全体にお金を循環させる仕組みが必要だと主張しています。
さらに和田先生は、お金を「自分のもの」と思うこと自体が誤りだと言います。自分にお金があるのは「運」に恵まれた結果であり、感謝を忘れてはいけないと。たとえば、裕福な家庭に生まれればどんな人でも金持ちになれるし、高学歴や高い地位も、頭が良かった、上司に好かれた、商売がうまくいったなど偶然の積み重ねによる部分が大きいのです。
自身の経験からも、教育産業で稼いだ後、著書『80歳の壁』がコロナ禍をきっかけにベストセラーとなり、金銭的に恵まれたのは「運が良かっただけ」と話しています。だからこそ、いまお金を持っているのは神様が授けてくれた運のおかげであり、社会に還元しないのは間違いだと考えています。
要するに、和田先生は「お金はため込むためでなく使うためにある」と強調しています。使わずに貯め込むことは、資本主義の精神に反し、社会の循環を止める「敵対行為」にすらなりかねないと警鐘を鳴らしています。清澤もこの意見に賛成です。医療や教育、地域社会に携わる立場から見ても、お金は回ってこそ人々の幸せを増やす力を持つと感じます。
和田秀樹『どうせあの世にゃ持ってけないんだから 後悔せずに死にたいならお金を使い切れ!』(SBクリエイティブ)より再構成
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