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糖尿病網膜症の最初の兆候と進行リスクについて
糖尿病網膜症は、糖尿病によって目の網膜の血管が障害される病気です。この病気の最初の兆候は、網膜の細い血管が損傷し、軽度の出血(点状出血)や血管からの滲出物(硬性白斑)が見られることです。これらは、通常、視力にはまだ影響を与えませんが、進行すると視力低下のリスクが高まります。
どのくらいの高血糖が続くと現れるのか?
糖尿病網膜症が発症するリスクは、血糖値のコントロール状態(HbA1c)と糖尿病の罹病期間によって大きく異なります。
- HbA1cが7.0%未満:リスクは低いが、長期間(10年以上)の糖尿病歴があると、発症の可能性が出てくる。
- HbA1cが8.0%を超える状態が数年続く:網膜症のリスクが上昇し、検査で初期の変化が見られることが増える。
- HbA1cが9.0%以上が数年間持続する:多くの患者で網膜症が進行しやすくなり、中等度以上の網膜症へ進行する可能性が高まる。
一般的に、糖尿病を発症してから5年〜10年程度で、網膜に初期の変化が見られることが多いとされています。ただし、糖尿病の診断が遅れた場合は、診断時点ですでに網膜症が始まっていることもあります。
どのような負荷がかかると網膜症が悪化するのか?
網膜症を悪化させる要因には、次のようなものがあります。
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血糖値の急激な変動
- 血糖値が長期間高い状態から急に下がると、網膜の血管がダメージを受けて進行が早まることがあります。
- 特にHbA1cが10%以上だった人が急激に改善すると、一時的に網膜症が悪化することがあるため、徐々に血糖をコントロールすることが推奨されます。
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高血圧
- 血圧が高いと網膜の血管に負担がかかり、出血や浮腫(むくみ)を引き起こしやすくなります。
- 血圧の目標は130/80mmHg以下が望ましいとされています。
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腎機能の低下(糖尿病性腎症)
- 腎臓の機能が低下すると、体内の水分や電解質のバランスが崩れ、血圧が上がることで網膜症の進行を加速させます。
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脂質異常(高コレステロール)
- LDLコレステロールが高いと、網膜の血管にプラークができやすくなり、血流が悪化します。
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妊娠
- 妊娠中はホルモンバランスの変化や血流の変動によって網膜症が進行しやすくなるため、糖尿病のある妊婦は定期的な眼科検診が必要です。
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喫煙
- 喫煙は血管の炎症を引き起こし、網膜の血流を悪化させるため、網膜症を悪化させるリスクがあります。
まとめ
糖尿病網膜症の初期の兆候は、小さな出血や滲出物が網膜に現れることです。HbA1cが8%以上で数年続くとリスクが高まり、10%以上では進行が加速します。急激な血糖値の変動、高血圧、腎機能低下、脂質異常、妊娠、喫煙などの要因が進行を促すため、血糖・血圧・脂質を適切に管理し、定期的に眼科検診を受けることが重要です。
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