ご近所の話題

[No.2394] 元飯田町、中坂、世継稲荷:点景

澪の料理帖 7巻 心星ひとつ 86ページに;

「九段坂の一本北側に、中坂という傾斜の緩やかな坂があり、その坂の中腹に大層立派な稲荷社が有る。元は「田安稲荷」と呼ばれた社だったが、境内に見事な橙の樹が有ったことから、「代々」に通じるとして「世継稲荷」と称されるようになって久しい。子を授かりたい者、授かった者の参拝が絶えなかった。」 という下りが有ります。

 先日、俎橋に近い「つる屋」が有ったとされる場所を訪れた時に、この世継ぎ稲荷を訪ねてきました。

今、此処は、むしろ平将門を祀る築土神社がメインになっていました。ここは、江戸城北の丸の北隣で、元は御三卿の一つである田安家の敷地内だったそうです。左右二頭の狛犬だけは当時のものが何回かの遷座に随ってここに移されて来たという事でした。

俎(まないた)橋の「つる屋」の有ったとされる場所には中くらいの高さのビルが建ち、蕎麦屋が入っていました。

俎橋が架かる飯田川は川幅50メートルもある結構広い掘割なのですが、今はその上を竹橋から池袋に向かう高速道路が走っていて、下は薄暗くなってしまっています。この小説の中で澪らが土手で土筆やヨモギを摘んだ様な風情はもうありません。ただ、ビルの前の植栽には多くのすずめが風を避けて集まり、かまびすしく鳴いていたのが印象的でした。

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