青山繁晴さんの「私は灰猫、そして灰猫と私」を読みました。青山さんは参議院から総裁選に出馬したい意向を述べていますが、推薦人20人を集めるのに苦労中のようです。カフカの城塞のような、漠然とした不安と不条理を感じさせる小説です。
青山繁晴の小説『わたしは灰猫、そして灰猫とわたし』は、自分が生まれた屋敷を訪ねて、自分の現在に至る謎を訪ねる物語です。現代社会の不安定な状況を背景にしています。何かはっきりとしない雨の多い霧の中から、主人公のマインさんは自分の出生にも拘わる謎を聞き出そうとします。この小説は、身近な村人の行動に置き換えられる暴力を背景とした、現代社会の様々な問題を扱いながら、希望と復活のテーマを描いています (電子書籍ストア│BOOK☆WALKER)。
物語は日本に生まれ、両親の離婚でアラスカに移り、やがてボストンで医学部卒業後にデンマークに渡ったという若い女性研究者が主人公です。咲音は山中で一人暮らす「灰猫」とあだ名される老婆と出会うところから始まります。灰猫は何年かに一度出現する幻の湖やその湖にまつわる謎について語ります。この湖は、非常に澄んだ水で満たされ、短期間で消えてしまう神秘的な存在です。著者は美恵君と奈良県境にある大台ケ原を舞台に擬しています。 (Kinokuniya) (thebibliophilia)。
私の知る限りでも地下水の水位は季節等によって大きく変動します。冬になると水位は下がり、春になると(伏流水の)水位は上がってきます。もしかするとそうした地下水位の変化が、そしてもう少し短い時間軸での水位変化がこの小説に出てくる幻の池を現れさせたり消失させたりするとも考えられます。河口湖の水面が上昇した変異もこの小説ヒントだったかもしれません。
この小説は、現代の不安な時代に対する新しい生き方を暗示し、読者に希望と癒しを提供することを目的としています。文庫版には新たに後日譚が書き下ろされており、物語にさらなる深みが加えられています。しかし灰猫さんのみでなく、若い運転手まで連続して死なせてしまう必然性は不明です。お母さんのその後もどんなものだったか?と考えさせられました。 (Fusosha) (電子書籍ストア│BOOK☆WALKER)。
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