東京都医師会の「元気がいいね」と言う広報誌に「暮らしと医療」として「もしも今、大きな災害が起きたら」というテーマが論じられています。この記事も参考に市民向けブログ記事を章立て形式で構成してみました。
もしも今、大きな災害が起きたら
―私たちの命と暮らしを守るために―
① 今後30年で70%の確率:大災害が東京を襲う?
東京都医師会が発行する広報誌『元気がいいね』では、「もしも今、大きな災害が起きたら」というテーマで、防災への備えを再確認する特集が組まれています。
現在、国や東京都の地震予測によれば、「今後30年以内にマグニチュード7クラスの首都直下地震が起こる確率」は70%にも上るとされています。これは単なる予測ではなく、実際の地質やプレートの動きに基づいた“現実的な未来”です。
私たちは、普段の暮らしの中にこのリスクをしっかりと意識し、防災対策を今から実践しておくことが求められています。
② 都心南部直下型地震では死者6000人以上?
東京都の被害想定によれば、都心南部直下型地震が発生した場合、最悪のシナリオでは6000人を超える死者が出ると試算されています。
火災や建物の倒壊に加え、交通やライフラインの麻痺が人々の命と生活を危険に晒すと想定されています。さらに、医療機関も一部機能不全に陥る可能性が高く、救急搬送や治療の遅れが深刻な影響を及ぼします。
私たち医療従事者は、日頃から災害時に備えて医療体制を確認しておく必要があります。そして市民の皆さまにも、「災害時にはどこに避難すればいいのか」「どのように連絡を取ればいいのか」など、自分と家族の命を守る行動計画を持っていただきたいと思います。
東京都防災会議が2022年5月に公表した「首都直下地震等による東京の被害想定」に基づく、冬の夕方(18時)に都心南部直下地震(M7.3)が発生した場合の主な被害想定をまとめた表です。
都心南部直下地震(冬・夕方・風速8m/s)被害想定(東京都全体)
被害項目 |
想定数値(東京都全体) |
主な要因 |
建物被害棟数 |
約194,431棟 |
揺れ等:82,199棟 |
死者数 |
約6,148人 |
揺れ等:3,666人 |
負傷者数 |
約93,435人 |
揺れ等:83,489人 |
避難者数 |
約299万人 |
- |
帰宅困難者数 |
約453万人 |
- |
※「揺れ等」には液状化や急傾斜地の崩壊などを含みます。東京防災ポータル+5東京防災ポータル+5東京防災ポータル+5
出典:東京都防災会議「首都直下地震等による東京の被害想定」概要資料(2022年5月25日公表)
③ その時が来たら、私たちが主役
災害は突然起こります。そしてその時、最初の72時間は自助と共助が命を分けます。災害直後には、消防や警察、医療機関などの「公助」が機能するまでに時間がかかるからです。
そのため、一人ひとりが「自分が被災者にも支援者にもなり得る」という意識を持つことが非常に大切です。
眼科診療所も、災害時には電源や水道が止まり、通常通りの診療ができない可能性があります。しかし、例えば「義眼の方の洗浄液」や「ドライアイの点眼薬」、「メガネやコンタクトレンズが壊れた時の対応」など、目の健康を維持するために必要な物資や情報も、防災袋に入れておくべき項目です。
また、日頃からかかりつけ医と連絡が取れる手段(診療所の連絡先を紙に控えておくなど)を確認しておくと安心です。
④ 災害発生後72時間は、安全な場所にとどまる
災害時の最初の72時間は「生死を分ける時間」と言われます。これは、負傷者が生存できる限界であると同時に、救助・医療支援の到着に時間がかかることを意味しています。
この間は、「むやみに移動せず、安全な場所にとどまる」ことが基本です。自宅が無事なら在宅避難も選択肢の一つですし、職場や通勤先にいた場合は「一斉帰宅」を避けてその場にとどまるようにしましょう。
災害発生時に通院が必要な方も多くいますが、その際はまず自治体や医師会が発信する情報を確認し、無理のない範囲で行動することが重要です。
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