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[No.3793] FBIと最重要犯罪者の異色の共闘──Netflix『ブラックリスト』を観て

FBIと最重要犯罪者の異色の共闘──Netflix『ブラックリスト』を観て

Netflixで少しずつ観続けてきたアメリカのドラマ『ブラックリスト(The Blacklist)』。ついにシーズン9まで視聴を終えました。全10シーズンからなる長編ドラマで、主演はジェームズ・スペイダー演じるレイモンド・“レッド”・レディントン。彼は元アメリカ海軍情報将校でありながら、後に世界的な犯罪者となった謎多き人物です。

物語は、彼が突然FBIに出頭し、「ブラックリスト」と称する未解決の凶悪犯罪者リストを提供する代わりに、特定の新人捜査官エリザベス・キーンとのみ協力するという条件を提示するところから始まります。この不可解な要求と共に、毎話異なる凶悪犯が登場し、FBIとレディントンがタッグを組んで逮捕に挑むスリリングな展開が続きます。

FBI捜査官の行動や心理分析、法執行プロセスの描写には緊張感があり、レディントンの知略に富んだ話術や時折見せる人間味も相まって、観る者を飽きさせません。医療の現場で、わずかな症状から診断を組み立てる作業とも似た“推理”の魅力が、このドラマには詰まっています。

すでに私が視聴したシーズン9までで、かつてレディントンの相棒であり、このドラマのもう一人の主軸とも言えたエリザベス・キーン捜査官が物語から退場するという衝撃的な展開もありました。彼女の死がドラマに深い余韻と変化を与え、その後のレディントンの行動にも複雑な影を落とします。

また、COVID-19のパンデミックにより撮影が一時中断された時期には、臨時措置として実写とアニメーションを織り交ぜた“リモート制作回”もあり、当時の制約下での制作側の工夫と情熱に感動させられました。こうした柔軟な対応力と、作品全体に漂う高いクオリティから、改めてこのドラマがアメリカの大手テレビネットワーク「NBC」によって制作されたものであることに納得がいきました。

視聴を進めるにつれ、表向きの犯罪捜査ドラマとしての顔の裏に、人間関係や信頼、裏切り、復讐、そして“正義とは何か”といった深いテーマが描かれていることに気づかされます。医師として、また一人の人間としても、考えさせられることが多いドラマです。

残るはシーズン10。どのような結末が待っているのか、今後も楽しみに視聴を続けたいと思います。診療に追われる日々の中で、こうした作品に触れる時間は、知的な刺激と心のリフレッシュを与えてくれる貴重な時間となっています。


※本作はNetflixで日本語字幕・吹替の両方で視聴可能です。作品の詳細は以下を参照ください。

NBC公式『The Blacklist』ページ

Netflix『ブラックリスト』作品ページ

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