学校の授業中、子どもたちはどれくらいスマートフォンを使っているのか
― 米国の大規模研究が明らかにした実態 ―
背景
近年、思春期の子どもたちがスマートフォンやタブレットなどの「画面」を使う時間は急激に増えています。米国では13~18歳の若者が、1日に8時間以上を娯楽目的の画面使用に費やしているという報告もあります。スマートフォンの使い過ぎは、身体的健康や心の健康、さらには学業成績の低下とも関連することが知られています。
多くの学校では授業中のスマートフォン使用に関するルールが設けられていますが、実際に「学校の授業時間中に、子どもたちがどの程度スマートフォンを使っているのか」を客観的に測定した研究は、これまでほとんどありませんでした。
目的
本研究の目的は、米国の中高生を対象に、スマートフォンの使用状況を客観的に記録し、学校の授業時間中にどれくらい、どのような用途でスマートフォンが使われているのかを明らかにすることです。あわせて、年齢や人種、家庭の経済状況、いわゆる「スマホ依存傾向」との関連も調べました。
方法
研究には、米国で進行中の大規模研究「思春期脳認知発達(ABCD)研究」のデータが用いられました。対象は13~18歳の青少年640人です。
一部の参加者には、スマートフォンに専用アプリを入れてもらい、実際にどのアプリをどれくらい使ったかを自動的に記録しました。対象は平日の授業時間中で、学校の休日は除外されています。さらに、本人の自己申告による「問題のあるソーシャルメディア使用」「問題のある携帯電話使用」についての質問票も併用されました。
結果
その結果、思春期の若者は学校の授業時間中だけで、平均して1日約1.16時間もスマートフォンを使用していることが分かりました。
使われていたアプリの内容を見ると、最も多かったのはソーシャルメディア(Instagram、TikTok、Snapchatなど)で、次いで動画視聴、ゲーム、メッセージアプリが続きました。
年齢が高い(16~18歳)生徒、黒人の生徒、世帯収入が低い家庭の生徒では、学校時間中のスマートフォン使用が有意に多い傾向が見られました。また、スマートフォンやSNSへの依存傾向が強いほど、授業中の使用時間も長くなることが明らかになりました。
結論
この研究から、米国の多くの青少年が、学校の授業時間中にも1時間以上スマートフォンを使用しているという現実が、客観的なデータで示されました。
学校でのスマートフォン使用には、社会的・経済的な背景による差も存在する可能性が示唆されています。今後は、学校のスマートフォン規制の在り方や、学習環境への影響、さらには長期的な学業成績や健康への影響について、継続的に検討していく必要があると考えられます。
出典
Nagata JM, Kim KE, Hoang OH, et al.
School-Time Smartphone Use Among US Youth in the Adolescent Brain Cognitive Development Study.
JAMA. Published online January 5, 2026.
doi:10.1001/jama.2025.23235
清澤のコメント
眼科診療の現場でも、子どもの近視進行や眼精疲労の背景に、長時間のスマートフォン使用が関与していると感じる場面が増えています。今回の研究は、「授業中でさえスマホが手放せない現実」を数字で示した点で非常に示唆的です。家庭と学校が連携し、使用時間や使い方を一緒に考えていくことが、子どもたちの学びと目の健康を守る第一歩になるでしょう。



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