高円寺の緑道公園で見かけたクチナシ
― 白い花と歌、そして眼の健康の話 ―
今朝、高円寺の緑道公園を歩いていて、ひときわ葉の緑が豊かで、瑞々しい低木に目が留まりました。刈り込まれた生垣状の樹形、厚みのある艶やかな葉。暖かい季節には、決して派手ではないけれど、静かに存在感を放つ白い花が咲いていた記憶があります。
案内板を見れば、この木がクチナシ(梔子)です。
クチナシは日本の公園や庭園でとても馴染み深い樹木です。常緑で、冬でも緑を保ち、初夏になると白い花を咲かせます。その香りは甘く濃厚で、一度嗅ぐと忘れにくいものです。花は数日で黄変し、やがて静かに散っていきますが、そのはかなさもまた魅力の一つです。
「くちなしの花」を歌った名曲
クチナシと聞いて、多くの方が思い浮かべるのが、「くちなしの花」でしょう。
1973年に発表され、渡哲也さんの代表曲として今も歌い継がれています。
♪ いまでは指輪も まわるほど
やせてやつれた おまえのうわさ…
https://youtu.be/NLZWoVa-pYo?si=z2-Xo7VqR7QS05Fn
直接「白い花」や「香り」を描写する歌ではありませんが、題名に込められたクチナシのイメージ――言葉にできない思い、秘めた感情、耐える美しさ――が、昭和の日本人の心情と深く重なり、多くの人の記憶に残っています。
クチナシは「実が割れない=口無し」と書かれることから、古くから沈黙や忍耐の象徴ともされてきました。
クチナシと「眼の健康」の意外な関係
では、眼科医の立場から、クチナシと目の健康に関連する話題はあるのでしょうか。
クチナシの実は、古くから漢方や民間療法で利用されてきました。生薬名では「山梔子(さんしし)」と呼ばれ、含まれる成分の一つにクロシン(crocin)やクロセチン(crocetin)があります。
これらはサフランにも含まれる色素成分で、近年、抗酸化作用や網膜保護作用が研究対象となっています。
実際に、クロセチンには
- 網膜の血流改善
- 視細胞を酸化ストレスから守る可能性
- 加齢黄斑変性などへの基礎的研究
といった報告があり、「見る」という行為を支える網膜の健康と無縁ではありません。もちろん、クチナシの実をそのまま食べれば目に良い、という単純な話ではありませんが、植物が持つ色素と視機能の関係は、眼科の世界でも重要なテーマです。
静かな花が教えてくれること
公園の片隅で、誰に主張するでもなく咲くクチナシの花。その姿は、「よく見ようとしなければ気づかない美しさ」を私たちに教えてくれます。
目の病気も同じで、初期には自覚症状が乏しく、見逃されがちです。だからこそ、日頃から「見ること」に意識を向け、定期的な眼科受診を大切にしていただきたいと思います。
白く、控えめで、しかし確かな存在感を放つクチナシ。
高円寺の緑道公園で出会ったこの木は、歌と記憶、そして眼の健康を静かにつないでくれる存在のように感じられました。



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