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[No.1487] 急ブレーキかかった欧州「2035年EV化法案」。日系メーカーの「二正面戦術」は正しかった:記事紹介

急ブレーキかかった欧州「2035EV化法案」。日系メーカーの「二正面戦術」は正しかった

清澤のコメント:自動車業界におけるトヨタの覇権を嫌い、またヒステリックな環境保護派に攪乱されたEUの全自動車EV化の動きも、西欧経済不況を前に頓挫しかけているという事か?慎重に読み解きたい。

3/9(木) 20:00配信記事抄出です

2021年714日 欧州委員会は「気候変動対策に関する包括的な法案の政策文書」を発表した。その中で、EUでは2035年以降の新車登録を、いわゆるゼロエミッション車に限定する方針を示した。EUEVを念頭に置いている。この欧州委員会の提案は、202210月に欧州委員会、欧州議会、閣僚理事会の三者間で最終合意に達し、2023214日に立法機関である欧州議会で採択された。 残るは37日の閣僚理事会の承認だけだったが、この会合が土壇場で延期される事態となった。ドイツの運輸・デジタル相が、ここへ来て“ゼロエミッション車にe-fuelのみで走行する内燃機関(ICE)車を含めない限り、法案を支持しない”と表明したため。

ドイツが「不支持」の背景…「e-fuel」がなぜキーなのか

e-fuel(脚注は再エネ由来の水素を用いた合成燃料のこと。燃焼時には二酸化炭素(CO2)を排出するが、一方で生産の過程でCO2を利用するため、CO2の排出量と吸収量を差し引けば実質ゼロとなる。e-fuelであれば、既存のガソリン車やディーゼル車の生産ラインを維持できる。ドイツ自由民主党は、親ビジネスでe-fuelの利用を重視する。

イタリアやポーランドも法案に合意せず

閣僚理事会の採決は「EU27カ国のうち15カ国以上の同意が不可欠」であるとともに、その「15カ国でEUの人口の65%以上を占める」が必要。イタリアも従来のガソリン車やディーゼル車の生産ラインが不要となり、雇用が失われる恐れがあるため反対。ポーランドも反対意見を表明、ブルガリアも棄権。4カ国の人口を合計すると35%を超え、2035EV化法案は閣僚理事会で否決となる。

根強い「性急なEVシフトへの反対」

基本的に、「2035EV化法案に慎重な国々は、EVシフトそのものに反対しているわけではない」。EVシフト自体には賛成だが、2035年までというタイムラインに疑義を呈している。 EU内においてEVシフトはメガトレンドだが、タイムラインは慎重な意見が多い。

経済重視派と環境重視派の間で繰り返される論争

EVシフトで失われる可能性がある雇用にも配慮した点が重要20226月の欧州議会議決では、環境重視派が勝ったが、経済重視派の反対も根強い。脱炭素化重視の欧州委員会は、世界的メガトレンドであるEVシフトの覇権を握ろうと野心を燃やすが、調整不足を招いた。

最終的には妥協に達する見通しだが…日系メーカーの「二正面戦術」は現実解だった

調整慣れしているEUだから、最終的には2035EV化法案は承認されるだろう。すでにEUでは、新車の一割がEV。もう一段の普及を図るためには、充電ポイントなどインフラの整備のほか、中古車市場の育成、低所得国の市場開拓も必要。日系メーカーも、世界的EVシフトを見据えて、車種の開発や生産に勤む。一方で、ハイブリッド(HV)やプラグインハイブリッド(PHV)といった電動車に強みを持ち、その道による脱炭素化も模索し続ける。 EVの増産も図りつつ、HVPHVといった電動車の道も追及するという日系メーカーの二正面戦術は、やはり現実的な解だったということではないか。

土田 陽介

脚注:エレクトロフューエル

フリー百科事典ウィキペディアより

再生可能エネルギーからの電気燃料は、化石燃料に取って代わる可能性があります。

合成燃料の一種である電子燃料とも呼ばれる電気燃料はドロップイン代替燃料の一種です。それらは、回収された二酸化炭素または一酸化炭素と、風力、太陽光、原子力などの持続可能な電力源から得られる水素を使用して製造されます。このプロセスでは、製造時に二酸化炭素を使用し、燃料が燃焼したときにほぼ同量の二酸化炭素を空気中に放出するため、全体的な二酸化炭素排出量が低くなります。したがって、電気燃料は、輸送、特に長距離貨物、海運、および航空輸送による温室効果ガス排出を削減するためのオプションです。

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