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[No.83] 揺れて見える症状を「動揺視」といいます

清澤のコメント:清澤眼科医院通信で視聴者の(2番目に)多い動揺視の記事を改変して採録します。末尾の動画の方も、割合に良くまとまってますのでご覧ください。片眼の揺れでは上斜筋ミオキミアであることも多いです。神経眼科診療は南砂町ではなく、自由が丘清澤眼科に移りました。

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静止している物体が動いて見えたり、揺れて見える症状を「動揺視」といいます。その多くの場合、眼球がリズミカルに行ったり来たりする「眼振」を伴います。
まず考えられるのは、生まれつき眼球の動きをコントロールする箇所に問題がある先天性の眼振ですが、ある時から物が揺れて見えるようになった場合は、これには当てはまりません。
後天性の眼振で考えられるのは、メニエール病などの三半規管の異常によるものです。三半規管は両方の耳の中にあって、首が上を向いた、右を向いた、傾いたといったように3次元の動きを感知して信号を送り、平衡感覚を保っています。
その三半規管に炎症が起こったりすると、自分が回転しているように感じてしまうのです。耳鼻科の言葉では「めまい」、眼科の言葉では「揺れて見える」となり、メニエール病で眼科を訪れる患者さんも少なくありません。
また、中枢神経系の病変によって後天性の眼振が現れるケースもあります。
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人間の脳の中には視覚を司る視覚野があり、そのうちの「V5野」と呼ばれる場所が「動き」を捉えています。この「V5野」が、脳梗塞や脳出血などによって活性化すると、静止している物が揺れて見えるようになるのです。
これとは逆に、脳出血の患者さんで「テレビでサッカーなどのように動きの激しいシーンを見ると、静止画が集合したように細切れに見えるのでつらい」という症状を訴えてきた男性がいました。脳をMRIで検査したところ、動きを感じる「V5野」が欠落していることが分かりました。
「V5野」の異常によって、止まっている物が動いて見えたり、逆に動くものを捉えることができなくなったりするということですから、物が揺れて見える場合、脳のどこかに病気がある可能性も考えられます。手遅れにならないうちにしっかり検査してもらうことをおすすめします。
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追記:片目で斜めに揺れて見えるなら上斜筋ミオキミアも考えます。水平に片目の画像が揺れるものにはMLF症候群「内側縦束症候群」という脳幹の梗塞もあります。

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