今まで、「慢性の緑内障として観察治療していた患者さん」に、「急性の前房炎症所見だ出ている」として彼の旅先の眼科医から患者さんが戻されてきました。受診時には前房細胞もほぼ消えており、虹彩の癒着も無いのですが、どうも「急性前部ブドウ膜炎と呼ばれるもの」のようです。それともポスナーシュロスマン症候群のようなものなのでしょうか?(ポスナーはこの記事の末尾参照)
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急性前部ブドウ膜炎は、目の脈絡膜(虹彩と毛様体)の炎症です1。脈絡膜は目の中間層で、血管や免疫細胞が多く含まれています2。急性前部ブドウ膜炎は、目の痛み、光過敏、視力低下などの症状を引き起こします1。原因はさまざまですが、感染症や自己免疫疾患などの全身性の病気に関連することがあります2。
急性前部ブドウ膜炎の診断は、目の外観や検査結果に基づいて行われます3。目の赤みや虹彩の変色、瞳孔の形や反応の異常などが見られる場合があります12。スリットランプ検査では、前房(角膜と虹彩の間の空間)に白血球やタンパク質が溜まっていることが確認できます12。これらは前房フレアや角膜沈着物と呼ばれます12。眼圧も測定されますが、通常は正常範囲内です2。全身的な原因を探るために、血液検査や画像検査などが必要な場合もあります3。
急性前部ブドウ膜炎の治療は、主に目薬で行われます3。ステロイド目薬は、炎症を抑えるために使用されます3。また、散瞳剤や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)目薬も併用されることがあります3。散瞳剤は、虹彩と水晶体の癒着を防ぐとともに、目の筋肉を弛緩させて痛みを和らげる効果があります32。NSAIDs目薬は、ステロイド目薬と同様に炎症を抑える効果がありますが、副作用が少ないとされています32。全身的な原因がある場合は、それに応じた治療も必要です3。
急性前部ブドウ膜炎は適切な治療を受ければ完治することが多いですが、再発することもあります23。また、白内障や青内障などの合併症を引き起こす可能性もあります23。そのため、定期的な眼科受診や眼圧測定が必要です3。
先ずこの説明で患者さんに納得いただければ幸甚なのですが、私はこの説明ではこれがなぜ「急性前部ぶどう膜炎」であり、それ以外のものではないかが十分に納得できません。以前から私は、この病名にはひっかかかりを持っておりました。HLA-B27という特異的なヒストコンパチビリティー抗原(体質を著す)あたりの存在がそこら辺を説明してくれるのかもしれません。
上記の解説の根拠とした文献は以下の通り。
ーーーーーーーーまた気が付くことがあれば追加いたします。
一巻無関係だが、場合によっては関連しそうな病名:
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