有名な国立の神戸大学を卒業し、地域の公的な医療センターで研修中であった医師が自殺しました。「医療法人経営者でもある父親と同じ診療科を選び、親たちの期待に沿おうとして努力を重ねて、一歩一歩昇りつめたのが自殺への道であったのかもしれない」というのがほぼ同世代の医学生の感想でした。学会発表の準備である自己研修は強いられた労働ではないという病院管理者(指導医)の認識も、研修医家族側の認識とは全く違うのが気になります。私も大学勤務中は、指導医として勉強は研修医自身のためと考えていただけに、医学教育管理者の責任を明確に述べた第3者委員会の報告書も胸に響くものを感じます。丁寧に相手していたつもりでも症例検討の準備をさせたら1週間で退局した人もいました。更に病院が親側によるこの調査結果の公表を拒んだという点も、病院側がその責任を未だに自覚出来て居ないとして責められている点です。
現在、まだ8月ですが、来春に向けて医学部の卒業試験も始まっております。そしてこれから医師国家試験になだれ込んでゆきます。どうも最近の日本の医師養成課程では、資格を満たせばなん員でも通すという立場から、一定の比率の出来の悪い受験生は合格させないといった方向への風潮の変も無くはないようです。
ーーーー記事の採録ーーーー
◎神戸市にある「甲南医療センター」に勤めていた26歳の医師が、去年、過労によって自殺した問題で、遺族が病院の運営法人を相手取り、提訴する方針を明らかにしました。
去年5月、神戸市東灘区にある「甲南医療センター」で、消化器内科の専攻医として勤めていた26歳の高島晨伍さんが、神戸市内の自宅で自殺し、労災として認定されました。
高島さんが亡くなるまでの3カ月間は100日連続で休日がなく、最後の1カ月の時間外労働は200時間を超えるなど、過酷な労働環境でした。
病院側は遺族に、未払いの残業代130万円を支払いましたが、過重労働をさせていた認識はないとし、「労働時間の中には自己研さんの時間もあり、正確な勤務時間は判断できない」などと説明していました。
そして18日、遺族が開いた会見では、高島さんが亡くなってからの病院側の対応も、決して納得いくものではなかったことが明らかになりました。
遺族は、病院を運営する法人を労働基準法違反の疑いで刑事告訴していますが、今後、民事訴訟も起こす方針です。
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