白内障

[No.1922] ブルーライトカットメガネは眼精疲労や睡眠の質を「改善しない」可能性:記事採録

ブルーライトカットメガネは眼精疲労や睡眠の質を「改善しない」可能性:を論じた総説が発表されている。そもそもブルーライトの罪は、慶応大学教授であった坪田一男氏により提唱され、眼鏡メーカーがブルーカット眼鏡という商品を大々的に宣伝することに伴って日本で流通が広がった。最近になって同グループからはブルーではなく、紫光が近視抑制に有効であるという別の説が提唱されている。ブルーライトを夕方から夜にかけてスクリーンから浴びると、睡眠周期がずれるなどの弊害を考えて、ブルーライトを減光させる眼鏡の有用性が提唱されたという経緯があった。今回の研究は、自分が行った研究ではなく、既存の論文をまとめて新たな結論を導くというメタ解析という方法で書かれたものである。

東京都ではブルーライトカット眼鏡を眼鏡製造業者が無償で学童に配布しようとして、これを日本眼科学会等の反対で、中止させたといった事象も見られています。(当記事末尾注;参照)

なお、ブルーライトの害については、

ブルーライトとは、波長が380~500nmの青色の光線のことで、太陽光やパソコンやスマートフォンなどの画面から発せられる。ブルーライトは、体内時計を整えるなどの健康に良い効果もあるが、過剰に浴びると目や心身に悪影響を与える可能性がある。

ブルーライトが目に及ぼす害としては、以下のようなものが挙げられた。目の疲れや痛み、目の眩しさやチラつき、網膜や角膜上皮細胞へのダメージ、加齢黄斑変性症のリスク増加。

ブルーライトが心身に及ぼす害としては、以下のようなものが挙げられた。頭痛や肩こり、睡眠リズムの乱れや睡眠不足、イライラ感やストレス、メラトニン分泌の抑制。

ブルーライトの害を防ぐためには、以下のような対策を取ることがすすめられていた。

パソコンやスマートフォンの使用時間を減らす、パソコンやスマートフォンの連続使用をやめる、ブルーライトカットメガネやディスプレイカバーを使用する。部屋の照明やディスプレイの輝度を変える、寝る前にパソコンやスマートフォンを見ない

  ーーー記事採録ーーーー

ブルーライトカットメガネが、非ブルーライトカットメガネと比べて目に特別な効果がないと新たな研究は結論づけた。これまでの研究では、これらのメガネが目の疲れ、睡眠の質、頭痛、全体的な目の健康を改善するとされていた。


Cochrane Database of Systematic Reviews(コクラン共同計画の中核をなすデータベースで、一定の基準を満たした論文をベースに治療、予防効果を相対危険度のかたちで提供している)に掲載されたメタ分析によれば、ブルーライトカットメガネが睡眠の質、目の疲れ、目の健康に違いをもたらさない可能性があることが判明した。

研究者らは、6カ国で行われた17件の研究データを調べ、成人参加者は5人から156人に及んだ。

これまでの研究では、ブルーライトカットメガネは睡眠パターンを改善し、目の疲労を軽減し、コンピュータビジョン症候群(デジタル眼精疲労、長時間のデジタル機器の使用によって引き起こされるドライアイ、目のかすみ、頭痛、眼精疲労を指す包括的な用語)を改善すると結論づけられていた。

International Journal of Ophthalmology(国際眼科学会誌)に掲載された研究によると、デジタル機器やLED機器に含まれるブルーライトは、網膜にストレスやダメージを与え、近視や睡眠パターンに影響を与える可能性があるという。

しかしLED機器は非常に新しいため、研究者によればブルーライトが目に与える長期的な影響についての研究はあまり出揃っていない。

研究では、ブルーライトが網膜にストレスをかけ、睡眠に影響を及ぼす可能性があることがわかったが、ブルーライトカットグラスが解決策であるかどうかは不明であることもわかった。メタ分析では、17の研究のうちどれも、ブルーライトカットグラスと非ブルーライトカットグラスの間で、視覚の疲労感や視覚のパフォーマンスのスコアに大きな違いがなかったと結論づけられている。

短期的に有利だという結論は得られていない

Arianna Johnson

清澤の脚注:東京都でブルーライトカット眼鏡を無償で学童に配布しようとした事象に関する記事は、以下のようなものがあります。

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