進行性外眼筋麻痺(Progressive External Ophthalmoplegia、PEO)は、眼外筋(EOMs)に影響を及ぼす遺伝性の筋病の一種で、通常は両側性の眼瞼下垂と眼球運動麻痺として現れます1。この病名が示すように、それは慢性的で進行性の、通常は対称的な、そして眼球外部の(つまり、瞳孔を除く)眼球運動麻痺です1。(原文献にリンク)
PEOはミトコンドリア疾患と関連しており、孤立した眼球運動症状(孤立したCPEO)または他の全身的な所見と共に発生することがあります(“CPEO-plus”)1。追加の臨床特徴によって、CPEOは全身的な筋病または神経学的症候群の一部として評価されることがあります1。
ミトコンドリアのCPEOの最大60%のケースはミトコンドリアDNA(mtDNA)の欠失(1.3から1.9 kbの範囲)によるものです1。他のケースでは、mtDNAメンテナンスの核DNA(nDNA)関連欠陥(例えば、POLG1、ANT、C10orf2/twinkleまたはPOLG2)が原因です1。
PEOは通常、18歳から40歳の間に成人で現れ、時間と共にゆっくりと悪化します2。PEOの最初の兆候は通常、片側または両側の眼瞼下垂(ptosis)であり2、これはミトコンドリア疾患の唯一の特徴である場合があります3。
したがって、進行性外眼筋麻痺はミトコンドリア疾患であると言えます。ただし、この情報は2021年までのものであり、最新の情報をは医師や専門家に相談することをお勧めします。(この情報はアメリカ眼科学会のyrwikiページの情報がもとになっています、)
ーーーー追記ーーーー
最新の「神経眼科初めの一歩」にも石川弘先生の神経眼科診療の手引きにも記載は有りません。藤野、清澤、江本の教科書(神経眼科_臨床のために_第4版_3部06章)では
3 遺伝性外眼筋疾患 genetic extraocular myopathiesの中で
a. ミトコンドリア病 mitochondrial diseasesとして記載してあり、
■概説■
● ミトコンドリア脳筋症mitochondrial encephalomyopathy とも呼ばれる。
● 代表的な眼筋ミオパシーは,慢性進行性外眼筋麻痺である。
① 慢性進行性外眼筋麻痺 chronic progressive external ophthalmoplegia(CPEO)
● 徐々に進行する両眼の外眼筋麻痺。
● 典型例では両眼対称性に起こるので複視がない。
● 非対称性の症例も報告されている.6 例のcase series では50%,10 例のcase series では
10% が非対称性であった.
● 初発は眼瞼下垂や,垂直眼球運動障害。
● 上転がまず侵される。
● 発症年齢は幼児から50 歳までと広いが,20 歳以上が多い。
● 眼輪筋の減弱,脱力。
● 眼筋伸展性の欠如(進行したものでは牽引試験forced-duction test 陽性)。
● 瞳孔は正常。
● 進行性外眼筋麻痺に顔面筋,頸筋,四肢筋の脱力,球症状,心筋異常など種々の神経障
害を伴うものがあり,総称してophthalmoplegia plus という。
● Bell 現象陰性のため,兎眼になりやすい。眼瞼下垂の手術は慎重に行わないといけな
い。
■文献■
1) 江本博文,江本有子,他.【ミトコンドリア病】眼科におけるミトコンドリア病.神経眼科,2014;
31:417-425.:との記載があります。
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