神経眼科

[No.2555] 大脳皮質背側視覚経路の機能 宇賀貴紀 山梨大学:

  • 大脳皮質背側視覚経路の機能 宇賀貴紀 山梨大学:一次視覚野から頭頂葉の一部である下頭頂葉皮質に向かう大脳皮質背側視覚経路は、今でも空間視経路と呼ばれている。しかし、背側視覚路の機能は、空間視というよりも感覚情報を用いて行動、つまりアクションを生成することではないかと考えられている。実際、下頭頂葉皮質には、手、眼、腕、頭などの運動を制御する脳領域が存在し、これら脳領域のニューロンは、運動の目標となる視覚情報と運動の両方に反応する。また最近、判断の神経基盤に関する研究が著しく進展し、視覚から行動への変換とは、度の行動の選択肢を選ぶ時科の判断、つまり、情報収集と決定の情報処理過程であることがわかりつつある。本稿では、大脳皮質背側資格経路の機能の新たな考え方について紹介する。
  • 清澤のコメント:神経眼科2024 No1の生理学から「みるを究める」特集から2番目の特集総説の印象録です。落ち着いて何回か読み直し、理解しておくと、神経眼科医ならその知識で症状が説明できる症例に出会えるかもしれません。

Ⅰ、初めに;下側頭葉皮質に向かう経路は物体視覚路、下登頂葉皮質に向かう経路を空間視経路となずけられた。

Ⅱ、背側視覚路の機能は空間視だけなのか頭頂葉の機能は視覚情報を用いて行動、つまりアクションを生成すること。

Ⅲ、視覚運動変換の場としての下頭頂葉皮質;下頭頂葉皮質は、主に動きや奥行きに関連する情報を中側頭(middle temporal; MT)野から、オプティックフローに関連する情報を内側上側頭(medial superior temporal; MST)野から受ける。

Ⅳ、下頭頂葉皮質への入力:MT野は動きの中枢。もう一つ、奥行きの表現をする。MST野は自分の動きで生成されるオプティックフローに反応する。

Ⅴ、下頭頂葉皮質の機能AIP野(前頭頂間野;nterior intraparietal )は手指の運動、特に把持運動の中枢。LIP野(外側頭頂間野;lateral intraparietal)は眼球運動の中枢。特定の方向に眼を動かす時に反応する。特に、記憶誘発性のサッケード。

Ⅵ、視覚情報から行動への変換プロセス:MT野ニューロンは動きの方向に関する情報を持っている。MT野が提供する動きの方向に関する情報をLIP野が証拠蓄積している。

Ⅶ、ヒトでの判断関連神経活動:最近判断関連活動が観測可能になった。

Ⅷ、結論:一次視覚野から下頭頂葉皮質に至る背側視覚経路は視覚情報を行動に変換する役割を担っている

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