清澤のコメント:この記事は私のものではありませんが、内科医の記事掲載前に相談を受けました。調査してみると筑波大の本村教授著でBJOの論文があり、要するに血糖を急激に下降させると遠視化、逆に糖尿病が悪化すると近視化する、ということのようです。機序は浸透圧変化でレンズが変形するということではなく、レンズの屈折率が変化するということのようでした。
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糖尿病治療で血糖値が大幅に下がると「遠視」になるのか?
糖尿病患者には一時的な視力変化がみられることが知られている。血糖が上昇しているときは近視となり、血糖が下がると遠視の状態になるという。
ある報告では糖尿病と診断されて5年が経過した50代男性が、教育入院で食事療法と運動療法を本格的に開始して1週間ほどしたところ、近くが見えづらいと訴え、7年前に作ったメガネが合わなくなったという。また、糖尿病歴3年目の50代女性は、治療開始3日目に遠視の状態が現れ、10年前に作ったメガネが合わなくなったという。
糖尿病を発症して2週間の教育入院をした98人を対象に空腹時血糖値と目の屈折度を調べた、さらに別の研究では196眼中84眼に比較的に大きな屈折度の変動があり、そのうち56眼が退院時に遠視化が認められたという。
また、20眼に近視化が認められたとも報告されている(なお8例は片方遠視化他眼近視化だった)。
遠視化傾向は入院時に高血糖で、血糖低下幅の大きい患者に高率に認められたという。なぜこのようなことが起きるのか?
しんクリニック(東京・蒲田)の辛浩基院長が言う。
「糖尿病患者の目の屈折変化は、角膜の変化などさまざまな原因が考えられますが、この場合は血糖が水晶体の屈折率に影響するからでしょう」
しかし、屈折率の変化は一時的なもので、数カ月すると元の状態に戻るといわれている。実際、上記の50代の男女は数カ月後には視力が糖尿病治療前の状態に戻ったという。
最近は血糖値ばかりか食欲と空腹感を抑制する2型糖尿病治療薬が登場して、劇的に血糖値が下がる人が続出している。こうした人は当然、視力の変化もあると思われるが、糖尿病治療に積極的に取り組む人は視力の変化があることは知っておいた方がよさそうだ。
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