眼瞼けいれんの頻度、有病率はどうなっていますか
臨床的な質問5A 全体像・概念
:眼瞼けいれんの頻度、有病率はどうなっていますか
回答:2012年のメタアナリシスによると眼瞼けいれんの有病率は10万人当たり4.2人(2.9から6.2人)わが国では10万人あたり1.6~6.5人と報告されている。世界的には、10万人あたり10人以下は日本イギリス、ユーゴスラビア、ノルウェー、ドイツ、米国。10人以上はイタリア、台湾の報告が有る。(2C)
解説:1993年と2004年に鳥取県西部で調査があり、1993年は10万人当たり1.6人が、2004年には6.5人と増加を認めていた。1997年にボツリヌス治療が眼瞼けいれんに対し認可され、眼瞼けいれんの診断ができる医師が増えたことによる影響が大きいと考えられている。2003年京都の報告では3.4人、2005年の北海道十勝地域では8.9人、2006年の秋田では8.6人と若干のばらつきはあるものの、3.4人から8.9人という結果であった。男女比はおよそ1.2~3で女性に多く、好発年齢は50~60代といえる。
ブラジルでは特発性ジストニアが10万人あたり19.8人で、眼瞼けいれんは局所性ジストニアで最も多く、そのうち25.5%を占めた。アイルランドでは17.8人で眼瞼けいれんは内17.2%をしめた。フェロー諸島では局所性ジストニアが、100万人中602人、しかし眼瞼けいれんはない。眼瞼けいれんの有病率は、10万人中、米国は1.7人、ユーゴスラビアは1.9人」、ドイツは3.1人、ノルウェーは4.7人、イギリスは8.1人、台湾は10人、イタリアは13.3人であり、人種や地域により差が認められる。
診断を左右するbiomarkerのない疾患であるため、医療側の認識度、診療制度で数字は大きく変化する。神経内科と眼科の認識の差もあり、今後数値は大きく変化する可能性がある。
清澤のコメント:眼瞼けいれん 診療ガイドライン第2版(2022)日本神経眼科学会、眼瞼けいれんガイドライン改定委員会による記載の採録です。今後、患者さんが興味を持ちそうな項目を順次紹介してゆきます。上記のように眼瞼けいれんの頻度は10万人当たり3ないし6人です。推奨の強さは2で弱く推奨する。効果に対する確信はᙅ(弱)で効果(成果)に対する確信は限定的とされている項目です。なお清澤はこのガイドライン作成委員会のシステマティックレビュー委員会3名のうちの一人を務めさせて貰いました。
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